HOME > ICPE講演録 > 堀 治人 氏

経営革新としての日本経営品質賞の活用 / 2000年8月

講演録(PDFファイル)をご希望の方は、氏名・年令・役職・会社名・所在地・連絡先・ご使用の目的を必ず明記の上、メールにて「経営革新としての日本経営品質賞の活用」講演録希望と送信してください。(無償にて提供いたします。ただし、ご利用の目的がふさわしくないと判断した場合はお断り申し上げる場合がございますのでご了承願います。)確認後、送信させていただきます。

経営革新としての日本経営品質賞の活用
堀 治人 氏

みなさん、こんにちは。大変暑い中、またお忙しいところをこれだけお集まりいただき、ありがとうございます。大変立派な会場で、このような所でお話しするのも面映い感じがします。今日は2時間いただいているので「日本経営品質賞の活用」というところに中心を置いてお話したいと思います。
今も紹介がありましたように、水戸や勝田というのは以前、仕事の関係でしょっちゅう来ている所です。だから大変馴染みやすく、わざわざ来たという感じが全くしません。ちょっといつものことで出かけて来たという感じです。
この水戸、茨城で、鬼沢さんが中心になられてこれだけ多勢の方々の関心を集めていただき、経営品質活動、経営品質の向上活動というものがこれだけ活発になるということは、私どもとしては本当に感動ものです。いろいろな県でもやっていますが、それぞれ事情があってなかなかうまくいかない。水戸、茨城の活動状況というのは大変うまくいっていると思います。私は埼玉に住んでいるので埼玉県でもこういう推進をしているのですが、やはりいろいろな事情があってなかなか一筋縄ではいかないというところがあります。しかしこういうものは、うまくいったからどうだこうだというものではないので、根気よくやっていくということです。
この経営品質向上プログラムの活動も最近富に盛んになってきました。今までは大体東京を中心とした地区で、なぜか関西はあまり関心がなかったのですが、最近では、遠くは高知、鹿児島、広島、大分、この近辺でも当然茨城が中心になりますが、栃木、福島、千葉、それから以前からやっているのがご存知のように新潟と福井です。各地で非常に盛んになってきました。
盛んになってきたというのは、私どもが何回かお邪魔してお話をすると、その後では非常によく理解してもらえるのです。それはそうです。これは会社を良くする仕組みなので、誰も「ノー」と言う人がいないわけです。ただ今までそれを知らなかったということです。知らなかったからやらなかったというごく当たり前のことなのです。だから分かってもらえると、みんな「これはいいですね」ということになってくるわけです。
これは言ってみれば当たり前のことです。経営品質向上プログラムを実施して、最終的に優れた企業に「経営品質賞」を差し上げ、その名誉を称えるわけです。これは元々は全世界のベストプラクティスというか、様々な企業が「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤して実績をあげてきた一つのやり方を、全世界の学者がいろいろと理論付けをして整理してまとめ上げたものなので、もう全部参考になります。ですからベンチマーキングのベストプラクティスの塊のようなものです。だからこれをやらない手はないのです。「全世界の経営の知恵が集まっている」というのは決してオーバーな表現ではなく、本当にそう思います。
ただ、それがあまりにも理論的に整然と区別されています。経営という定性的なもの、社会科学的なものが7つや8つのクライテリア(基準)分けられているので、どうしても表現が抽象的になります。だから最初に見たときに分かりにくい。「何回読んでも難解だ」というようになってくるわけです。しかし決して中身はそんなに難しいものではありません。それぞれの企業が一生懸命やってきたことで、その中身は突き詰めていくと本当にどろどろしたもの、施行錯誤の塊だと思います。それを学んでいくということは大変有益なことだと思います。
経営品質向上プログラム、経営品質賞とは何かという話は、既に前回、前々回、大久保さんと岡本先生が中心になってここでお話をしたと思うのでよくお分かりだろうと思います、だから今日はあえてそういう話はせず、むしろ活用の方をお話したいと思います。どのようにしてみなさんの企業の中に取り込んでいくか、どうやったらそれを企業の中に取り込んで最終的にはいい会社になるかということを、いい経験ばかりでなく失敗した経験もふまえてこうしたらいいのではないかということ、それから、私が年に120回も話をしたりこういう活動をしている中でいろいろ聞いていることなど、全部ふまえてまとめてお話ししたいと思います。
しかしいちばん最初に、基本的なこととして、この経営品質向上プログラムの考え方というのは非常に大事な考え方で、この考え方が分からないと全てが理解できない。大久保さんがさかんに言っていることですが、まとめて言えば「プロダクトアウトからマーケットイン、軸足を移す」ということなのです。話は分かるけれど、やる方はなかなか大変なのです。そういうことに簡単に触れさせてもらって、あとは中身の方に移りたいと思います。
時間としては4時までですが、3時になったら10分休憩します。タバコをお吸いになる方はもう少し我慢をしていただきたいと思います。
お手元に資料をコピーしてお渡してあります。今日はそれに多少付け加えて、なるべく新しく、なるべくホットな考え方をお話したいと思います。事前になって鬼澤さんに「今日フロッピーを持ってきたからこれでやってよ」と渡したので、資料にないものも2~3枚入ってくるかもしれません。しかしほとんどのものはこの資料の中にあります。

世の中変わりました。このことを認識してもらわないと何も変わらないのです。やはり世の中が変わった。だから我々も変わらなければいけない。自分も変わらなければならない。会社も変わらなければいけない。これが全ての出発点です。世の中が変わっていないという認識だと、今までと同じでいいのではないかという話になってきます。
ここに書いてありますが、左側が今までの常識、右側がこれからの常識です。これは読めば分かりますね。
今の時点で、どうしてわざわざ世の中が変わったということを言うのかというと、分かりにくいからです。日本という国が大きく変わったときは3回あります。1つは明治維新。2番目が敗戦。はっきり分かりました。目に見えて分かりました。明治維新はお侍さんがいなくなりました。ちょんまげがなくなりました。いろいろな制度がものすごく変わりました。敗戦もはっきりと分かります。艦砲射撃でめちゃめちゃに工場がやられました。
ところが3番目の今は、目に見えているものは何も変わっていないのです。新聞では不況だとは言います。多少大きな企業が倒産するということがあるかもしれませんが、これは何もそれだけをとってみてもそんなに変わったわけではありません。みなさんの生活自体がそれほど悪くなっているわけでもありません。
だから海外から日本に来た外国人が「日本は不況だというけれど、何が不況だ。何も不況ではないじゃないか。成田に降りてずっと来ても、浮浪者も何もいない。物乞いをする子供もいない。みんなこざっぱりしたきれいな鞄を持って、きれいな格好をしている。女性はみんなブランド品の鞄を持って大変なものですね。新宿に数名浮浪者がいるけれど、あの人たちは趣味でやっているのであれが生きがいみたいな人たちばかり・・・・・・。何が不況だ」と言う。
しかし本当に世の中が変わったということを認識しないと、これからの経済、経営をやっていくときには非常に支障が出てきます。そのことを「これまでの常識」「これからの常識」ということでここにまとめてみました。このようにはっきり変わってきました。以前からお話があると思いますが、いちばん大きなことは「プロダクトアウトからマーケットインの世界に変わった」ということです。
この中で1つだけお話ししておくと、これから目に見えて我々にとっていちばん影響のあるのは、「低成長 人口の減少」ということだろうと思います。人が減っていくということは時々いろいろな新聞に出ていますが、間違いなく大変大きなインパクトを与えることです。最近の新聞によると、今の日本の人口は1億2600万人です。厚生省の調査では、大体2007年ぐらいにこれが1億2800万人ぐらいでピークをうつだろうということです。今の出生率、お年寄りの減り方からみると、その後急速に人口が減っていくというのです。
経済というのはある程度人の数で成り立っているので、人口が減っていくということは、今までのように足りなければ人を採用するということがそう簡単にいかなくなる。日本というのはいわゆる日本という単一社会なので、日本人だけで経営をしていくということが非常に難しくなるということです。あと20年経たないうちに、街の中にはアメリカと同じようにいろいろな国の人が歩いているということが普通の景色になるかもしれません。
そうなったときに経営の面から考えたら、今と同じような経営のやり方でいいのかということになってきます。外国人を受け入れたときに、その言葉の障害をどうするのか。教育の問題はどうするのか。社会構造をどうするのか。そういうことから考えていかないといけません。なぜかというと、ある程度の移民を受け入れないと経済が成り立っていかない時代が必ず来るということです。そのための経営をどうするのかということを長期的には考えておかなければいけない。これがいちばん大きな問題だろうと思います。

次お願いします。これは基本的なおさらいです。パラダイムという1つの座標軸が変わったということで、全世界をあげて今や市場経済の時代に入ったということです。
少しだけ説明をすると、政治の世界でも社会主義体制が終わってしまったということはみなさんよくご存知のことです。ベルリンの壁が1989年の11月に壊されました。昨年でちょうと10年経ちました。象徴的な出来事でした。社会主義は理論的には素晴らしい考え方だけれども、どうも実際のやり方ではうまくいかない。特に経済の中ではうまくいかないということが分かりました。
社会主義では社会主義国家統制経済が当然のことです。今やこれがお隣の中国でも、「社会主義市場経済」とはっきりと言っています。社会主義市場経済というのは、考えてみればこんなに矛盾する話はありません。社会主義に市場経済なんてあり得ないのです。しかし政治は社会主義、経済は市場経済と使い分けている。日本は自由主義、資本主義でしたが、官僚統制経済。しかしもう当然ながら資本主義市場経済です。イデオロギーに関係なく、全ては市場経済の時代に入っているということです。
だから市場経済、マーケットのことを聞かずして、これからの会社運営、企業運営はできないということです。市場経済というのは当然のことながらお客様が中にいるので、顧客本位の経済ということになってくるわけです。このことをきちんと理解しているかいないかということが、行動に非常に大きな影響を与えてくるのです。

次お願いします。1つはパラダイムが変わってきたのです。いろいろな物事を考えるルールや規範、枠組み、考え方の基本が変わりました。しかしもう1つ、それから流れてくる品質の考え方も変わりました。従来の品質の考え方はクオリティでした。日本では品質、品物の質と訳しました。それは当然のことながら、製品、サービスの品質であり、今まではプロダクトアウト、物を作れば売れた時代なので自らが決めた品質です。これをきちんとルール化して、また品質を良くしようといったものが、製品サービスの品質という意味ではTQCです。1986年から1987年、「ジャパン アズ ナンバーワン」と日本が世界で最高の地位を占め、今の日本とアメリカの立場が全く逆であった頃、そのような日本にもっていったのはやはりこのQCの力だと思います。日本は良い物を安く作るという技術を身に付けた。これは品質の時代です。
自らが決めた品質。これはルール化、規格化をするので、ISOは自ら決めた品質の基準をうるさく言うわけです。
経営品質は何を言っているかというと、この品質も大事でこれが基本ですが、ここからさらに顧客品質というものを非常に重要視します。経営品質向上プログラムの中心的な考え方は、みなさんよくご存知のとおり「お客様」ということです。顧客満足、カスタマーサティスファクションということを非常にうるさく言います。しかしそのカスタマーサティスファクションというのは顧客価値という概念であって、それは何かというと経営全体の品質、つまり経営品質と、それからもう1つはお客様が決める品質です。
これだけ研究開発費用をかけて、これだけいい素材を使って、これだけ合理化をして、一流の生産設備でこれだけ素晴らしい品物を作りました。さあ、お買いください。これが自らが決めた品質、製品・サービスの質、今までのやり方です。これからは物を買うときにお客様が決めるのです。何を買うか。当然ながら昔からそうなのですが、特にこれからはそうです。
なぜそうなるか。過当競争なのです。車1つとってみてもたくさん車があります。日本には約11社自動車会社があります。これだけ自動車会社がある国は他にありません。住み分けはしていますが、同じような車がどんどん出てくる。今は輸入車もどんどん入ってくる。みなさんにお聞きしますが、他人とまったく同じ車がいいという人は誰もいないはずです。同じメーカー、同じ車種はあるかもしれない。形は一緒でも色、内装、それぞれに違うはずです。
それはみなさんの好みで、顧客が決める品質で決めていきます。だからお客様のニーズに合ったものを出さないと、今は売れない時代、過当競争の時代です。だからそういうお客の視点に立って軸足をそこに移していかないと、これからは物が売れない時代だということです。
それと同時に何か物を買う、あるいはサービスを受けるときに、単にそのものの品質、例えばコップがいいというだけでは買わないでしょう。「これはどこが作ったの? 日立が作ったのか、じゃあ、いいね。」「○○が作ったのか、それではいいね。」やはりその企業の信頼感やその企業の評判などで見ていきます。これが経営品質です。だから経営の質を高めなければいけない。
最近非常に不幸な、経営品質が落ちるような事件が多く新聞に報道されています。この経営の質ということに関しては、また一段と世間がうるさくなり、新聞も書くようになりました。要するに隠す、ごまかす。非常にマーケットから糾弾されます。あくまでも経営全体の質を求められている時代になっているわけです。
だから経営品質というのは従来の品質から顧客品質に変わったのではありません。今までは「製品・ザービスの質」「自らが決めた品質」だけでよかったのが、これからは「経営全体の品質」「顧客が求める品質」を重視していかないと世の中に受け入れられない。そして、この全体が経営品質だという考え方を確認してもらいたいと思います。

次お願いします。品質と価値の違いというのはこれを読んでもらえばありがたいのですが、品質と価値とは違います。顧客の価値というのはお客様によって違うのです。これは今お話ししました。品質をいくら高めても顧客価値は向上しないということです。いくら良い物を作っても売れなくなった。お客様が決めた良い物はいつでも売れる。そういうことなのです。あとはちょっと読んでください。

それでは次お願いします。もう1つ、CSの概念も変わったというか、変えてもらいたいということです。経営品質向上プログラムというのは、元々情緒的なCSから戦略的なCSというものを求めているものなのです。ところが経営品質賞、経営品質向上プログラムの中でいちばん誤解されるのがこのCSという概念です。
日本には今から6年ぐらい前にCSという概念が入ってきました。アメリカが日本のTQC、デミング賞を学んで、品質の成果を誉めるものを作ろうということで、1987年、レーガン大統領の時にマルコム・ボルドリッチ賞というものを作りました。そのときにすったもんだの議論がありました。いちばん最初の頃はデミング賞と同じような賞をアメリカでも作ろうという話になったのです。しかしアメリカが日本よりも10年早くサービス社会という社会に突入していたということもあって、顧客価値という概念を入れなければいけないとブラッドリー・ゲールさんらが非常に強く主張したわけです。アメリカでもなかなか分からず、また議論に議論を重ねて顧客価値、カスタマーサティスファクションという概念がその中に入ってきました。
そして「CSが大事だ」ということだけが日本にポンと入ってきました。これは情緒的には分かります。お客様は大事だ。やはり挨拶をしよう。丁寧にしよう。お辞儀の仕方をしっかりしよう。このことだけが入ってきて、一時本屋さんに本がずらっと並んだことがあります。
私は最終的にはサービス会社に勤めていました。まだ会社に勤めていた頃に、上司が「サービス会社でCSは大事だ。サービスエンジニアの人がお客様のところに行ってきちんと挨拶をし、きちんと応対をして、お客様に良い感じを与えて何とか受注を増やそう」という考え方で、全社を挙げてそのCS活動をしました。何をやったかというと挨拶の仕方、応答の仕方などのマナー活動が中心でした。日本全国がCS活動というのはそういうものだと思い込んでいたのです。これは情緒的には非常に大事なことです。
しかし先程からお話ししているように、この経営品質プログラムが言っているCSというのは当然情緒的なものも入りますが、それ以上に戦略的な、原理的なCSというものが中心の課題になっているわけです。それは世の中が変わって、過当競争で競争が激しい時代、しかも今、全世界で国境という関税障壁がほとんどなくなって、ましてや今のインターネットの時代になると、ますます顧客中心になってきます。
世の中でB to BとかB to Cということが新聞によく出てきます。やたらとカタカナと英語が多くて困るのですが、Business to BusinessなのかBusiness to Customerなのか。インターネットとなると個人が相手になるので、B to Cということになります。企業が直接個人と取り引きをする時代になると、ますます個人、お客様の満足度が非常に影響してきます。
ですからネットの時代になればなるほど、お客がどれだけ価値を認めるかということがはっきりと注文に表れてくる時代になります。ますますこのカスタマーサティスファクションというのが大事になってきます。だからそれは単に感じが良いとか悪いとかいう情緒的なものだけではなくて、それを戦略的に考えていかなければならないということです。このことが中心になります。
挨拶運動、ニコニコ運動など情緒的なCSをいくらやっても、戦略的なCSにはなりません。そこまでは発想はいきません。ですが戦略的CSというものを突き詰めていくと、これは当然情緒的CSというものが出てくるわけです。当然のこととして出てきます。自分たちの給料は誰からいただいているのですか? お客様からいただいているのです。お客様が来ればきちんと挨拶をするのが当たり前ではないですか。物を売りつけているのではない。買っていただいて初めてビジネスが成り立つのです。いろいろなことが分かってくると、戦略的なCSというのは当然情緒的なCSも含まれてくる。
それでは戦略的なCSとは何なのか。簡単に書いてあります。我々のミッションは何かというのは、当然ひとつの企業としては何をやるかを考えていきます。何を売り込むかではなくて、何をやるのか、どういう形で世の中の役に立つのか、どういう価値を世の中に提供する企業なのかというように考えていくのです。
次はお客様を誰にするべきかということをきちんと考えてください。それがお客様を選ぶ、お客様をセグメンテーションする、区分をするという、経営品質賞の中でもカテゴリーの2で非常に強調しているところです。お客様を区分していますか? 商品を買ってくれる人はみんなお客さまだから、みんな大事にしなければならない。これは情緒的なCSです。戦略的なCSではお客様を選んでください。お客様を捨ててください。そこからビジネスが始まるのです。「何を言っているの? 捨てろ? 冗談じゃない。」情緒的CSだけやっている人はこうなります。
パレートの法則というのがありますが、100人のお客さんのうち、自分の会社に収益をもたらしてくれるお客さんというのは大体2割です。これは調べてみると不思議なことに全部そうなのです。しかし企業側が分からなくて、100人の人みんなに満足してもらえるように一生懸命コストをかけている。本当は2割の人にかけるコストでちゃんと収益が上がるのに、無駄なコストを8割もかけている。これはパレートの法則で分かることです。だから選んでください。
これについてはいろいろな事例があります。お客様を区分して業績を回復した事例というのは、日経ビジネスにも様々な本にもいろいろと書いてあります。だから区分しなければいけない。誰をお客さまにすべきか。これを考えるのが戦略的なCSです。
次に大事なのがお客様の求める価値は何なのか。お客が何を求めているのかです。これを調べてください。調査をしてください。これはさんざん聞いていると思います。調査すると同時に、大事なことは理解するということです。調査しただけではまだスタンスがメーカー側、作る側にあります。だから理解をするということはお客様の立場に立って理解しなければならない。これは大変です。なかなか分かりません。
人間というのは元々は「俺が、俺が」なのです。これが生きていくための人間の本能、動物の本能です。子供を見てください。小さい赤ん坊から幼児になってくると自我が出てきます。いつも「私が、私が」「俺が、俺が」「あたいが、あたいが。」これが人間です。だからみなさんだって基本的には「俺が、俺が」なのです。何も悪いことではありません。当たり前のことです。人間だって動物なので、そうでなければ生きていけない。
しかしビジネスをやっていく上では、「俺が、俺が」ではビジネスにならないのです。人様に物を買ってもらってお金をもらうということは大変なことなのです。そのときに「俺が、俺が」でプロダクトアウトでやっていたら、うまくいかないのは当たり前です。だからお客の立場に立ちなさいということです。しかしこれは人間の本能と違うので難しいことなのです。難しいけれどやらなければ業績は上がらりません。だから一生懸命考えましょう、そのためのコストをかけましょうということです。
ところが今までの日本企業の中では、作れば売れた時代が長く続きました。日本の敗戦の復興期を合わせて50年以上ですが、30年から40年の間は作れば売れた時代がずっと続いたのです。戦争をする以前の時代の日本の企業は、決して作れば売れるという時代ではありませんでした。戦略的なCSというのをかなりやっていました。三越もそうです。大阪に石田梅岩という商人道の大先生がいます。江戸時代の石田梅岩さんの本を読むと、昔の言葉で書いてありますが今の経営品質と同じことを言っています。「お客さまが大事だ。」「親の言うことをよく聞きなさい。」しかし終戦後、物が滅茶苦茶に壊されて何もなくなって、作れば売れた時代が30年、40年続いたら、人間誰しもプロダクトアウトになります。
しかし今それを変えないと企業は良くなりません。環境が変わったからです。だから環境に応じた考え方をしていかなければいけないということは頭では分かっていますが、それだけではなく行動に持っていかなければいけない。
そしてお客様が求める価値は何か。どのような製品・サービスでお客様に価値を提供すべきか。そのためにどのようなやり方が最適かということを考えていく。これが戦略なのです。これがCSを戦略的に考えていくということなのです。だからお客様が中心です。誰をお客様にするべきか。その要求・期待は何なのか。それに対してどういう形で答えていくか。いろいろと戦術を練り、考え方をまとめていくのがCS戦略です。これが基本なのです。

次お願いします。パラダイムが変わりました。品質の考え方も変わりました。CSの考え方も変わってきました。私はOSと言っているのですが、最終的に経営のパラダイムが変わりました。経営品質向上プログラムというのは経営のOSです。OSというのはオペレーティングシステムです。これがなければ動きません。パソコンの中で、今は寡占状態ですからウィンドウズというOSがなければワードもエクセルもパワーポイントも、その他のソフトも動きません。同じことです。経営の中で経営品質向上プログラムというOSをきちんと持っていないと、山ほどある他の改善活動、改革運動も良く動かないということです。
なぜかというと基本ができていないからです。例えばプロダクトアウトの考え方の中で、サプライチェーンマネージメントやシックスシグマ、コーチングなどいろいろなことがあります。基本的な考え方が変わっていないのだから、それをやってみてもうまくいきません。
経営のパラダイム(OS)が変わった。それは何か。これは経営品質向上プログラムの基本的な考え方、顧客本位、競争力の強化、社員重視、社外との調和ということです。これはさんざんいろいろな所でお話を聞いていると思うので、そう詳しくはお話ししませんが、このことが基本になってくるのです。

次お願いします。まとめて言うと、会社を変えるにはまずマインドを変えましょう。意識を変えましょう。この意識が変わるのに時間がかかるのです。なかなか変わりません。
私は現役のときに、最終的に社長の提案もあって会社の中で「さん付け運動」をやろうということになりました。今までは「社長」「部長」「課長」と呼んでいた。それをそうではなくて、フラットな組織とまではなかなかいかないけれど、もっとみんなが自由に意見が言える形にしよう。どうも「課長」と言うと、肩肘が張って直立不動で、既に軍隊式で命令系統のような感じが強いので、もっと「○○さん」と話をしよう。これだけのことをやるのに3年かかりました。1年間はほとんど徹底しません。大体課長、部長がさん付けで呼ばれると嫌な顔をしますから・・・・・・。「あいつは何で課長と呼ばないんだ。」これが1年間抜けない。2年目は呼んだり呼ばなかったりごちゃごちゃ。3年経って初めて全部にそれが当たり前だという雰囲気になりました。
人間というのは組織・企業の中で、どんな基準で行動するのでしょうか。空気で行動するのです。ルールではありません。雰囲気です。司馬遼太郎さん風に言わせると「気分」です。気分で行動する。組織の暗黙のルール、難しく言うと価値観を敏感に感じて、こういうふうにやった方がいいと思ったらパッと変わる。いろいろな人がいるので、その雰囲気を変えるのに時間がかかる。「はい分かった」とみんなパッとなんて変わらないのです。
まずマインドを顧客本位に変える。これは時間がかかります。だから経営品質向上プログラムの普及には時間がかかるのです。桃・栗3年、柿8年かかります。なぜか。意識を変えるのに時間がかかるからです。
意識を顧客本位に変えただけでは情緒的CSなので徹底しません。やはりみんなが大事だと納得しあっているだけで終わってしまいます。仕組みを作らなければだめです。仕組みというのは制度です。形を作ることも大事ですが、仕組みを作ると否応なしにそれをやらざるを得ません。仕組みを作って動くことが大事です。
それから実践をする。実践をするは当たり前だと思いませんか。でもみなさん考えてみてください。会社の中に制度があって、やっていないことというのはありませんか? 結構あるのです。
1つの分かりやすい例を挙げましょう。これも私が現役の時に作った制度で、さっぱり実行されなかったものです。もう4年ぐらい前にボランティア休暇というものをいち早く作りました。日立は進んでいました。しかし半年間誰も取りません。人事部長が「取ってくれ」と言っても取りません。取っても何をやっていいのか分からないというのです。「ゴルフに行ってもいいですか?」「だめです。」当たり前です。何をやっていいのか分からない。今度は人事部が反省をして、ボランティア活動というのはどういうことをやるのか、どういうことを世の中が求めているのかという話を社内でレクチャーしました。そうしたら随分変わってきました。ボランティア休暇を取るようになりました。
簡単なことです。犬の散歩の時にゴミの不法投棄がないか監視員の資格を取りました。だから明日は犬の散歩をしますが、建前上はボランティア休暇を取って犬の散歩しますという人も出てきた。結構なことではないですか。その辺に自転車が捨てていないかとか、そういうことでもやはり1つの社会貢献です。こういう非常にプリミティブなことも大事なことです。今までやらなかった、見ても見ぬふりをしていたのに、見るようになってきた。みんなで見るようになってきた。それから空き缶を拾うような行動も出てきました。
そんなプリミティブな話ではなくて、もっと格好いい話はないかという話になってくると、これは実際にあった話ですが、技術屋さんが多く、アマチュア無線が好きな人が多かったので、その地域でアマチュア無線の防災ネットワークを作りました。これは立派なことです。ちょうど阪神淡路大震災の後だったので、そういうものを作りました。「大震災があって電力も通信も止まったときに、何とか自分のバッテリーで緊急の連絡網を作ろうという話があり、実はその打ち合わせがあるのです。」「どうぞいってらっしゃい。」
そういうことが次から次へと始まってくるのです。しかしそこまでいくには仕掛けを作っていかないと、仕組みを作っただけではなかなか実践が出てこないという1つの事例です。
そして最後は経営品質賞で常に言っていることです。見直しましょう。レビューをしましょう。仕組みを作ったら「これでいいのだ」ではなくて、常に見直しをしましょうということです。
「会社を変えるには」というすごい表題ですが、実に簡単な分かりやすいことで、このことをやっていくだけで随分変わってくるのです。まずマインドを変えましょう。仕組みを作りましょう。それから実践をしよう。見直していこう。こういうことです。だから何も戦略なんて大上段に振りかぶらなくても、そんなに難しいことではないと思います。

次お願いします。「経営品質向上プログラムとは」ということで、これはざっと振り返りということでお話をします。経営品質向上プログラムとは、企業経営のOSです。
また、経営力を向上させる仕組みです。ご存知のようにいろいろな大企業が、最近でも大きなデパートがバタバタといっています。全てこれは経営力なのです。商品力がないわけではない。お粗末な物を売っていたわけではない。経営力なのです。その経営力を向上させる仕組みです。
経営品質向上プログラムは顧客価値提供能力と独自能力を評価します。お客様にいかにすばらしいものを提供するか。しかもこれからは独自能力が大事です。バブルの前までは、みんなと同じことをやっていれば業績は上がっていったのです。それは経済のパイがどんどん大きくなってきたので、同じことをやっていても収益が出てきたのです。
典型的なのが銀行です。どこの銀行に行ってもやっていることは同じでした。女子行員の制服の色、通帳のデザイン、看板の色・名前が違う。それだけです。中身はまったく一緒でした。しかし最近はどんどん変わってきました。今はいかに隣の銀行と違ったことをやるかに変わってきました。
独自能力です。違ったことをやらないと、これからはお客が来ない時代です。これが市場原理の時代です。だから大変なのです。いかに独自能力を高めていくか。
そして先程言いましたが、ベストプラクティスと理論が体系化している。経営品質レベルが数値で分かる。何点とか、ABCのレベルで分かります。汎用性。どこでも通用します。
そして最後が大事なことです。自らが改革する仕組みだということです。だからセルフアセスメントということを基本に置いています。これは非常に大きな意味があります。改革をするときに、上から言われたことというのはあまりやりたくないものです。
以前にビデオをご覧になったことがあるかもしれませんが、2000年の経営品質賞の紹介ビデオがあります。その中でリコーの桜井社長が言っています。「コンサルタントの方を頼んで、お金もうんと払っていろいろ提言をいただいた。そのときには飲みたくない水を飲まなければいけなかった。しかしこの経営品質の向上プログラムというのは、自分で勉強して自分で気が付くことなので、自らの気付きということは『飲みたい水を飲む』ことなのです。」これは非常にうまいことを言っていると思います。
だからセルフアセスメント、セルフ=自分で、アセスメント=評価をするということは、自ら気が付くということです。自分が気が付いたことはやる気になるのです。なるほどなと思います。しかし人から言われたことは、「そうかな。立派なことを言っているけれど、あいつうちの会社をよくわかっていないのではないか。」と考えてしまいます。だからセルフアセスメントを基準においているのです。
しかしセルフアセスメントだと、どうしても評価点というのが社内の思いや文化ということなどで甘くなったり、辛くなったりしてくるので、もう一度外の目で見てもらおうということで外部審査を受けると非常に役に立ちます。でも外部審査を受けたときには、飲みたくない水かもしれませんが、飲まなければいけないと納得することも大事です。
経営品質向上プログラムや簡単なやり方をいろいろやって提言をする。しかし「審査員が言っていることがよく分からない」とか、「ピント外れだ」とか、「あの連中は物事をよく分かっていない」とかいう批判がぽろぽろっと聞こえてくることがよくあります。これは非常に悲しいことです。当たり前です。審査を延べ4ヵ月ぐらいかけて一生懸命やるわけです。本音を言ったら審査の仕事などやりたくないほどしんどい仕事です。大変に手間がかかります。考えて考えて考え抜いて現地へ行く。しかしそれだけの時間をかけて経営品質報告書を読むけれど、それには限界があります。その中で判断をしていく。しかも審査をする人というのは経営品質賞のクライテリアをとことん勉強した人なので、その基準に従ってお話をする。それはその会社に何十年もいる人と多少違います。だから見方が違うという前提で受け入れないと、自分たちと同じ考えではないから「分かっていない」と言うのはおかしいのです。
したがって自ら改革する仕組みというのはまず大事です。いちばん最初はまず自ら気が付いてもらうということになります。

次お願いします。これはご存知のことですね。経営品質賞は全ての改善活動を包み込む。基本的な概念です。

次お願いします。経営品質賞審査基準のフレームワークももうご存知のことですね。もう一度確認ということです。このフレームワークもよく見てもらうとよくできています。これを頭に叩き込んでもらうと、事業概要と8つの基準ということでできています。

次お願いします。もう1つ、経営品質とは何なのか。いろいろありました。ここには経理に明るい方もいらっしゃると思います。経営を考えるときに、基本的には損益計算書、貸借対照表が基本になりますが、貸借対照表を見てみると、経営品質は何なのかというと潜在資産だと思います。経営品質とはここにあるのです。これを見ただけで頭が痛くなるという人もいるかもしれませんが、Tの字を書いて左に資産の部と右に負債・資本の部があります。これは実にうまい仕組みなのです。これを発明した人は天才だと思うほどすごい考え方です。なぜ資産は左に書かなければいけないのですかと質問する人がいますが、これは決め事です。左でも右でもいいのですが、決め事なので左に書きます。貸借対照表は資産の部として流動資産、固定資産があり、負債・資産の部には流動負債、固定負債があって、資本があって成り立っています。
それでは経営品質はどこなのか。潜在資産、含み資産というものだと思うのです。当然ながら潜在資産があれば、目に見えていない潜在的な利益があるはずです。これが経営品質です。それでは経営品質の潜在資産の中身は何か。それはお客様のロイヤルティです。お客様を何人持っているか。どんな技術を持っているか。どんな社員を持っているか。経営品質のクライテリア、基準の中にはまるいいプロセスを持っているか。経営力です。これが経営品質です。これを高めていくということが大事なのです。
潜在的なものなので、すぐには表に出てこない。受注、売上げ、利益にはすぐ出てこない。しかしこれを高めていかないと利益は出てこないのです。

次お願いします。みなさんが最もなじみやすい損益計算書。どれぐらい売り上げたか。経費はどれぐらいかかったか。いくら儲かったのか。これがどのように反映してくるか。潜在的な経営品質の大きさです。これが改善活動をどんどんやることによって、お客さんが素晴らしい会社だと認めてくれて初めて売上高に変わってくるのです。注文してもらえるのです。それが最終的には利益になる。潜在利益が営業利益に変わってくると思うのです。
だから経営品質向上活動というのは、いかにこの潜在的な品質、クオリティを高めていくかということです。このことが大事です。この経営品質が少ない会社は売上げが上がりません。いくらこれだけ上げろと頑張っても無理です。「売上げを上げろ」と言う前にやることがあるのではないですかということです。それは経営品質を高めていくことです。従来の品質に加えて、経営の質、全体の質、お客様が認めた価値も高めていくということが業績を上げていくということにつながっていくのだと思います。

これから10分ほどで休憩しますが、経営品質向上プログラムの活用についてお話ししたいと思います。今までのところを振り返り、経営品質というものはこういうものだということをもう1度頭の中で整理してください。
これは戦略的なCSということで大事です。これを実際にみなさんの中で導入して活用するためにどんなやり方をしたらいいかということです。しかしこれはそんなに妙手、奇手というか、うまいやり方があるわけではありません。一応基本的なことを話したいと思います。

次お願いします。導入原則のなかでいちばん大事なことはトップの理解とリーダーシップが鍵なのです。世の中の通常の改革運動というのは第一線でやるものがほとんどです。QCもそうです。ISOを取るといっても社長が必死になって働くということはありません。大体第一線がやります。しかし経営品質向上プログラムというのは、まずはトップが理解しないと始まらないのです。経営そのものを変える仕組みなのです。経営力を変える仕組みです。経営というのは社長、トップがリードしているのです。だからトップの理解とリーダーシップがまずいちばんの鍵になります。どうやってここに理解させるかということが大事です。
次に大事なことは改革運動を経営品質で包み込むことです。これはどういうことかというと、みなさんの企業・組織の中ではいろいろな改革をやっていると思います。何もやっていない会社はほとんどない。一生懸命もっと良くしようと、いろいろ考えていろいろな改善活動をやっていると思います。導入するときにそれを絶対に否定しないということです。よくあるのです。「今までのやり方はもうだめだ。あれは古いのだ。講師から聞いてきた。これからは経営品質だ。今までのはやめよう。」これはだめです。これをやったら絶対にうまくいきません。なぜかというと、○○改革運動、△△運動を一生懸命やっている人を全部敵に回すようなものです。今までのことを否定されるので「俺の立場はない。あいつは何を言っているんだ。邪魔してやろう。」人間なので当然こうなります。
そういうものではないのです。経営品質向上プログラムというのは全てものを包み込む仕組み、OSなので、今までのものを否定してはだめです。その改革運動、考え方を経営品質向上の考え方で包み込んでくる。その考え方を導入すればいいのです。
お客様の視点で考えよう、お客様が第一だということで考えよう。今まではどちらかというと自分たちの都合で、自分たち優先で考えていたけれど、今度はお客の立場で考えてみよう。今まで1度もやったことはないけれど、お客様にアンケート調査してみよう。本音を聞き出してみよう。そういうところに少し予算をまわしてみよう。そういうことから始まるのです。何も今までのものを否定する必要はありません。
少なくとも、今日本の中で、世界の中でやられているQC、ISOなどのいろいろな改革運動の中で、経営品質向上プログラムに役に立たないものなど何もありません。全部役に立ちます。
それぞれ部分部分ですから、全社運動に展開することも大事です。経営改革なので経営力を変えるわけです。だから全社でやらないと意味がないのです。1つの部門だけやってみて効果があるものではありません。それは部分最適にするだけです。その部門だけが良くなって、それでは全体が良くなるかというと良くなりません。物作りで言えばはっきり分かります。ある部品だけ非常に良い部品を使っても、全体として性能が出るかというと次が不具合であれば何も出ません。トータルです。部分最適をやるのではなくて、全社最適、全体最適を目指しているのが経営品質なので、全社運動に展開しないと意味がない。しかし分かる人、分からない人、たくさんいるのでこれはなかなか大変です。
それからなるべく早く結論を出す。「堀さんが言っていることは少し違うのではないか。時間がかかると言っておきながら、なるべく早く結論を出せとは・・・・・・。」しかしなるべく早く結論を出さないと、人間はすぐ飽きるのです。せいぜい3年だと思ってください。3年やって何か成果が出ないと、「あいつら何やっているんだ。人を使って何か一生懸命やっているけれど全然成果が出てこない」とすぐ社長は言い出します。「俺の任期はあと4年しかないのに、3年かかってこんな調子では困るじゃないか」という具体的な話になります。
なるべく早く結論を出すということも大事なのです。やはりその成果を早く見せるということは、人間の心理からいっても当然そうなのです。そうでないと、本当に理解している人はいいのですが、理解がそこまで進んでいない人というのは、こんなことをやっていて、こんなことに経営資源を投入して、こんな人たちに勉強させて、何か全社でやっているけれど、本当に効果があるのかと常に疑心暗鬼です。だからそれはせいぜい3年ぐらいしかもちません。
アメリカのボルドリッチ賞の発表会というのは毎年2月か3月にワシントンで行われます。体育館のような大変大きなホテルの会場の中に全米、全世界から人が集まって発表会があるのです。これは大統領から表彰されるのですが、アメリカで受賞した企業の社長さんが出てきて、ニコニコとして、自分たちがどのようにして改革をしたか、どうやってボルドリッチ賞をもらったかということをとうとうとスピーチをするわけです。みんな言うことは、「私は6年前にはみなさん方と同じようにその席に座っていました。その時の受賞企業の社長さんの話を聞いて遠い夢の世界だと思っていましたが、何とかしたいと思い、帰って社員に伝え、始めました。しかし3年経った時にやめようと思いました。」みんなこう言います。「しかし3年、4年とやってくると、今度は社員がやめさせなくなります。『社長、ここまでやったのだからやりましょう。』ようやく奮起をして6年目にやっとこの賞をもらいました。」涙を流していっているのです。
そういうものなのです。国境を越えて日本人だろうとアメリカ人だろうと、せいぜい3年ぐらい経って成果が出てこないと、自分は経営責任を持っているのでやはり疑心暗鬼になるのです。だから早く結論を出しましょうということです。

次お願いします。この話をして休憩にしたいと思います。具体的な話に入ります。推進組織についてです。推進組織の事務局は少人数でやってください。なぜか。いちばん大きな理由は、推進組織の事務局が大人数になると、他の人が「あの改革運動は事務局の人がやるのだ」と思ってしまい、関心がなくなってしまうからです。だから事務局、推進者というのは極力少人数でやる。
その代わり全社組織でやるということが大事です。例えば委員会を作るとなると、トップは社長です。大久保さんの話を聞いても、天下の日本IBMもそうでした。お客様満足度向上委員会の委員長は北城社長でした。
私がやった場合にも、委員は全部門の部署長でした。いやおうなしに部長、各支店長、所長、全員が委員です。そして全国会議のときには、その前の時間に必ずこの会議をやるわけです。
また反対者ほど取り込むということが大事です。反対者というのは必ずいます。「あんなことをやってもうまくいかないよ。俺はあんなことあまり好きじゃないから・・・・・・。うちの社長は好きだね」と言う人が必ずいます。だからそういう人ほど委員にするのです。取り込んでしまう。取り込んでしまうとやらざるを得ないのです。人間は雰囲気で自分の行動を察知するので、「これをやらないとやばい」ということになると、やらざるを得ない。そしてだんだん分かってくると、反対者の実力者ほど頑張ってくれるのです。だからあいつは反対だから遠ざけようとすると逆効果になります。反対者ほど取り込むということが大事です。
まだまだ次を続けたいのですが、ちょうど時間になったので約束どおりここで10分間休憩をして、残りのところをまたお話したいと思います。

(休憩)

経営品質向上プログラムの活用の推進計画についてお話していきます。第1が啓蒙運動ということで、考え方を理解してもらうことがいちばん先です。何事も考え方を理解してもらうことが大事です。
それから第2期に簡易アセスメントをするということです。この簡易アセスメントについても、最近ではいろいろなツールが出てきました。いちばん簡単なのが、経営品質協議会が出しているCD-ROMを使うことです。画面をクリックしながら自分の組織、部門の大体の経営レベルが分かるというものがあります。あるいはそれを紙に書いて文章化したもの、いろいろな企業ごとに工夫をしているものなどそれぞれあります。そういうものを使ってみる。
それから経営品質報告書を作成するということが大事です。経営品質の活動をやるときに、1つのネックは手間暇かかるということです。やはりみなさんが希望されるのは簡単にこれをやればパッと良くなるというもので、そういうものはないかと聞かれるのですが、そんなものがあったら私が貰いたいぐらいです。これは1つの考え方で、その仕組みを学ぶわけですから、そういうものはないのです。
これまでの経験の中で、いちばん手間暇かかるけれどいちばん効果があると思ったのが、この経営品質報告書を書くということでした。いちばん最初に、書くのが大変なので「書かなくていいです。口頭で言ってください」と社内でアセスメントを始めたことがあります。そうすると組織、人によって言ってくること、レベルがばらばらなのです。それ程理解していないので、それは当然なのです。その人の頭がいい、悪いではなく、当然のことなのです。だからばらばらの評価になってしまう。また、やはり口頭で言っているのでその場で言って言いっ放しになってしまう。何も残りません。それからすぐ忘れてしまうということがあります。だから経営品質報告書を書くということが非常に大事だということが分かりました。
経営品質報告書というのは、言葉は難しいのですが、審査基準書のクライテリアに従って自分の組織や部門がどんなふうにやっているかをまとめて書いていきます。1.1リーダーシップ発揮の仕組み。経営ビジョンはありますか。ここから始まっていきます。その経営ビジョンを伝えるためにはどのような行動を起こしていますか。どんなツールを使って話をしていますか。それをどう確認していますか・・・・・・とずっとあるわけです。そういうことについて自分の会社、部門はどうなのだろうということをまず書いてみることが一番です。
書いていくと分かります。「うちはこれをやっていないな」、「ここがはっきりしていないな」、「同じ会社なのにこれはどうなっているのだろう」とたくさん出てきます。そのことが全部「気付き」になるのです。「これは何とかしなければいけない」となってくる。あるいは自分が知らなくても、他の部門に聞きにいったりする。「これはどうなっているのか。これはちゃんとやっているの?」「さあ、どうかな。何となくみんなやっていたのだけれど・・・・・・。みんなで頑張っているからいいんじゃないの?」ではすみません。だからそこを明確にするということで、経営品質報告書の作成ということは非常に効果があると思います。
次にアセッサーという専門家を養成します。これは全員がやる必要はありませ。しかしなるべく多くの人がやった方が話は通りやすいということがあります。特に認定アセッサーという核になる人がいた方がいい。そうでないと基準が曲げられてしまうというと語弊があるのですが、曲がっていってしまうということがあります。
大体自分の体験で評価してしまいがちですが、経営品質セルフアセスメントの大事なことは自分の体験でアセスメントしないということです。誰しも自分の成功体験を持っています。だから「俺はこうやってきた。俺の考えではこうだ」ということになると、これはアセスメントになりません。それは何かというと所感、自分の感想になってしまうのです。
この経営品質向上プログラムの大事なところは、経営品質賞の審査基準に基づいてアセスメントをやっていくということです。これは全世界の知恵が入っているわけですから、このことが大事なのです。そうでないと別のところへ行ってしまうのです。そういう意味でアセッサーの養成をしておかないと、そこが曲がってしまう危険があります。
そしてセルフアセスメントの実施、改善活動ということになっていくわけです。

次お願いします。推進目標としては、改革のゴールを明確にするということです。目標値、いつまでに何をやるかということをはっきりしないと、いつまでそんなことをやっているのだという話になるのでこれは当然です。だれが、いつまでに、どんな方法で、どんなレベルにということがあります。まず目標値を決めていきましょうということです。

次お願いします。これから実践編に入りますが、先程言ったようにまずセルフアセッサーを養成し、それからセルフアセスメントを実施してアセスメント結果のフィードバックをする。
セルフアセッサーというのは1つの部門に大体3人いればいいと思います。なぜ3人なのか。アセスメントをする場合には、合議審査をするときに標準6人というのがいちばんいい人数なのです。6人前後というので5人でも7人でもいいのですが、10人ということになると多すぎます。3人ではだめなのです。いろいろな意見をまとめて合議をするときに6人平均がいちばんいい。そうなると1つの部門で3人。そして自分たちの部署のことをよく分かっている他の部署の人を3人応援に頼む。すると社内でも他の目から見ていくので6人ということで、大体3人、3人ぐらいがいいのではないかと思います。
そしてセルフアセスメントを実施して、アセスメント結果のフィードバック、報告書を出すということが経営品質向上プログラムの進め方になってきます。

次お願いします。みなさんもう分かりだと思いますが、アセスメントというのは評価という意味です。これは今言ったように自分の体験ではなく、経営品質賞の評価のフレームワークで示された審査基準の視点から、現在の経営の実態が事業のおかれている状況と経営目標達成にふさわしいかどうかの適性度を評価することです。定義をすると言葉は難しいですが、要するに今やっていることが経営品質向上プログラムの求めているようになっているかどうかを見ていくのがアセスメントです。そんなに難しいことではありません。評価をしていくということです。
「経営品質賞の評価フレームワークで示された審査基準の視点から」というところが大事で、自分の経験からやらないでください。「なぜそうなのか。俺はこれほどの成功体験を持っている。」それは先程から言っているように時代が変わったのです。自分の成功体験というのはその時代ではよかったでしょう。今の時代でそれが合いますか?「俺はかつて営業売上げ№1だった。俺のやり方がいちばん正しいのだ。」今の時代に合いますか? 
セブン・イレブンの社長で伊藤さんという有名な方がいます。セブン・イレブンでは、毎月でなく毎週、全国の店長・責任者を集めて会議をやるのです。会議といってもほとんど伊藤さんのスピーチなのですが・・・・・・。あの人の本を読むと書いてありますが、そこで繰り返し言っていることは「成功体験を捨ててください。」成功体験を捨てろというのは辛いことなのでしょう。だって自分はそういう成功体験があったから、そこの地区の責任者、部長、課長になったのでしょうから・・・・・・。「俺の生きがい、生き様を捨てろということなのか。」辛いことでしょう。
しかし、経営を良くするためには捨ててください。なぜか。時代変わったのです。誠に申し訳ないけれど昔の成功体験は合わないのです。今何を基準とすべきか。何をクライテリアにすべきか。それは経営品質の基準をクライテリアにして、その基準に基づいて経営を判断してください。だから審査基準の視点から見るということが非常に大事なのです。

次お願いします。活用としてここには細かいことが出ているので、じっくり見てください。PDCAを回しましょうということです。改善・革新に終わりはありません。現状把握をし、全体プロセスの見直しをして、評価し、改善してまた再評価をする。これをぐるぐる回していきます。事業はどういうものなのか。主要なお客様のニーズは何なのか。先程言いましたが、お客様は誰ですか。そのニーズは何ですか。事業展開上の競争環境は何なのか。それをこの8つの基準に当てはめて評価していく。そして経営のレベルをプラス、マイナスで表わし、自分たちの強み、弱みを認識する。
ここで大事なことは強みです。日本の今までの監査主体の改革運動の中では、弱み、改善することばかり挙げてきました。改善することだけでやるとやはり暗くなります。要するに今まではまずいところを直せば企業が良くなるというのが1つの考え方でした。それは正しいのです。しかしこれからの競争が激しい世の中では、それではマイナスがゼロに戻るだけです。これからはいかに強みを伸ばすか。だからいろいろなものの本に書いてあります。「コアコンピタンスは何ですか。コアコンピタンスを伸ばしなさい。」あるいは人間個人でいえば、コンピタンシーは何ですか。
ややこしいです。コンピタンスとコンピタンシーとどう違うのか。これは使い分けがあるのです。コンピタンスというと1つの組織、企業なのです。コンピタンシーというと個人向けに使っているようです。個人の能力は何ですか。あなたの独自能力は何ですか。あなたは他の人と比べてどういう際立って強い能力を持っていますか。それを伸ばしなさいということです。人事評価制度などもそのように変わってきています。
企業でも同じです。独自能力は何ですか。他と違った素晴らしい能力は何ですか。それを伸ばさなければ競争には勝てません。いくらマイナスのところを直しても、そこに追いつくだけです。ベンチマーキングをして教わってきてそれをやってみても、それを超えなければ競争には勝てません。ベンチマーキングといってもただ教わってくるだけではいけない。それを超えていかなければいけない。
そういうことで課題を発見し、改善していく。さらにそれを見直していくということをぐるぐる回していくということになります。

次お願いします。これからは仕組みの問題、アセッサーの養成問題の話です。セルフアセッサーを養成していましょう。このセルフアセッサーというのはどんなことを学んでくるかというと、仕組みと組織能力とか、顧客価値創造の仕組み、競争優位発揮の仕組みを見るのです。こういうものの視点、見方をいろいろなケースを使いながら学んでいくのがセルフアセッサーの能力ということです。

次お願いします。セルフアセッサーの養成には茨城の経営品質協議会、ICPEの中でも既にやっている経営品質のアセスメントコースがあります。グレード1の入門コース、グレード2のアセスメントのやり方のコース、グレード3の経営を見る視点を学びましょうというコース、これで延べ6日かかります。そして東京に1度集まって、2日間の認定研修というのがあります。これも同じように、経営を判断する考え方、見方を学びましょうということです。
その他に、大きな企業の場合には自社の中でオリジナル養成コースを持っているところもあります。認定アセッサーはいらないけれどグレード1、グレード2までやれば、ほぼ会社の中でアセスメントができる能力が身につきます。これは短縮したコースということで、基礎コースが1日間、アセスメント経験コースが3日間、合計4日間でやります。こういうものもあります。これは社内アセッサーということになります。

次お願いします。セルフアセスメントの実施は、当然ながら経営品質報告書を書いてください。これは簡単でもいいのです。1つのカテゴリーにつきA4版一枚でもいいのですが、まず書いてみるということが大事です。セルフアセスメントの方法としては2つあります。経営品質報告書に基づくアセスメント、それからインタビューによるアセスメント。インタビューによるアセスメントというのは実際にやりましたが、これは簡単ですが逆に難しい。何も証拠が残らない。簡易アセスメントはチェックシートやCD-ROMを使います。しかし最終的には、やはり経営品質報告書の作成、書いてみるということが非常に大きな効果があるということは再三お話ししました。

次お願いします。自己診断(セルフアセスメント)するということは、自らが自らの組織を診断して改革していく仕組みなのです。これは非常に効果があります。そして審査基準は世界の英知が詰まっているので、体系化されたベストプラクティスということができます。またこの「気づき」、気が付くということが大変価値があることです。
もう亡くなりましたが、松下電器の松下幸之助さんがいろいろな本を書いています。その中に「はっと気が付いたことは経営のコツだ。ここに百万両の価値がある。」そういう本があります。だから気づきというの経営のコツだというのです。あの経営の神様がそういうことを言っています。
当然ながらそういうことによって自らの企業の経営レベルが分かるし、お客様の視点の経営、何よりも大事な、お客様に軸足を置いた経営が構築できます。あらゆる部門の経営改革が促進されていきます。

次お願いします。アセスメント結果のフィードバックということで、アセッサーが評価をします。プラス、マイナスというように、強みは何ですか、改善領域は何ですか。それからそのガイドラインに従って1000点満点で何点か。そして0点がDで、C、B、A、あとはAA、AAAですが、そのどのレベルか。そのような形でフィードバック報告書が出てきます。

次お願いします。この経営品質向上プログラムで薦めている1つのやり方にベンチマーキングがあります。ベンチマーキングというと最初は何のことか分からなかったのですが、この言葉も最近日本語になってきました。これは他の企業が1つのやり方で成功している、うまくいっているやり方を学んでくるということで、元々はアメリカのゼロックス・コーポレーションが編み出したやり方です。これは大変有効はやり方ですが、なかなか実行することが難しいのです。
ある企業に「ベンチマーキングさせてください」とお願いしても、「うちはそれは受けていません」と断られるかもしれない。いちばん聞きたいのは競合他社、ライバルの話です。しかしライバルの方は当然「何を言っているんだ。顔を洗って出直して来い」と言います。なかなか教えてくれない。
それではどうするか、大きな企業の場合、まず最初に社内ベンチマーキングをやってみてください。社内でやって、まずそこで練習してみてください。他部署のオペレーションのやり方、管理の仕方を勉強してください。なぜこれが有効かというと、一つは部門の垣根が低くなるのです。会社の中というのは、意外に自分の部門のことしか見ていないのです。そして会社が大きくても小さくてもみんな縦割りなのです。日本でもアメリカでも同じです。表現が違うだけです。日本は縦割り、アメリカはサイロと言います。「うちの会社は何本もサイロが建っている。全然行き来がない。」同じことを言っているのです。
つまり仕事のやり方を聞きに行くので部門の垣根が低くなります。これは非常に大きな効用です。だから機能部門横断型の組織になり、中の風通しが良くなる。これが大事なのです。経営品質で最も大事にしているのはそこなのです。専門的に言うと、クロスファンクショナルな組織を作りなさいということです。そうすると部分最適が全体最適になります。
もう1つはナレッジを生み出すBa(場)ができるということです。何か難しいことを言いますね。「Ba」と書いてあります。今、これは世界語です。どこへ行っても「Ba」で通ります。ある海外の企業さんで、日本人に「『Ba』って知っていますか?」と聞かれました。「いや、知りません。『Ba』って何ですか? 新しい経営理論ですか?」ニコニコ笑って「日本語の『場』です」と言われました。本田さんが言っていたワイガヤ制度、要するに組織や部門を越えてみんなが一同に集まってワイワイガヤガヤやる。これが大事なのです。。ナレッジマネージメントというとまた難しくなりますが、社員の人のいろいろな知恵を引っ張り出してくる。そこには企画、設計、製造、それから営業、管理部門の人がいろいろ集まってワイワイガヤガヤやる。自然に打ち解けていろいろな知識が入ってくる。
今まではそういう場がなかったのです。企画は企画、設計は設計、営業は営業だけでやっているのでなかなかうまくいかない。「営業成績が上がらないのはろくな物を作らないからだ。俺たちがいくら言っても設計は作らないし、製造もろくな物を作らないから俺のせいじゃない。」作っている方は「これだけいい物を作っているのに、うちは営業が弱いから・・・・・・。」と話している。これでは何も生産性がありません。それを話し合ってみると意外に話し合いができるのです。そういう場作りをしましょう。
この「場」というのは今非常に大事だと言われています。だからナレッジマネジメントの先進企業を見ていると一見遊んでいるように見えます。夕方の4時頃になるとぷらぷらっとみんなが集まってきて、部屋の片隅でサンドイッチとコーラぐらいでワイワイやっている。「昼間から遊んでいるじゃないですか。飲み食いしていいのですか?」「いや、いいんです。あれが大事なのです。あそこからいろいろな知恵が生まれてくるのです。あれを禁止したら、うちの発展性は全くないのです」とはっきり言うのです。私はきちんと守られた社会で何十年と生きてきたので、まだ何となく馴染めないのですが・・・・・・。
社内ベンチマーキングをするということは、そういうことを助けるということになってくると思います。それと同時にベンチマーキングの練習ができます。是非こういうことから始めたらどうかと思います。

次お願いします。大事なことは戦略志向の改革です。大変失礼ですが、通常みなさんが改革などの仕事をやろうというときには、ほとんどがある範囲でいかにうまくやるか、いわゆる管理をやっていると思います。いろいろな企業に行って話を聞くと、「自由にミーティングをしてください。現状の問題点を出して解決策を出してください」という問題解決技法などをよくやります。それは今の問題点を出して、それをいかにうまくやるかという話ばかりです。そうではなくて「何をやるか」を考えてください。これが経営品質なのです。大事なことは、これから何をやるかなのです。今をうまくやることではありません。今をうまくやるのは当然なのですが、もっと大事なことはライバルの先を行って何をやるかということです。
逆に物の売り方からいうと、「いかに安く売るか」ではなくて「いかに高く売るか」を考えてください。値段が安ければお客様は満足する。それはそうかもしれません。お客様は買うまでは値段です。買ったら品質です。しかし安くすれば売れるというものではありません。いかに値段が高くても欲しいものは買っていきます。それが今の現代の世の中です。成熟社会のパターンです。欲しいものはいかに高くても売れます。だからお客が欲しいものを作り出すことです。そういう商品・サービスを作り出したら、安く売らなくてすむのです。
これからは2番手商法では利益は出ません。2番手商法というのはリーダー企業ではないので、勝負できるのは値段しかないのです。そうすると利益がなくなってきます。だから圧倒的なトップシェアを取らないと利益は取れません。その代わり、そうなればある程度言い値で売れるという商品が世の中にあるでしょう。そういうものを作っていかないと利益は出てこないのではないでしょうか。
いかにうまくやるかという効率志向ではなく、戦略志向、戦略的にCSを考えるが大事なのではないかと思います。

次お願いします。考え方ではなくて具体的にお話ししましょう。これは私がやってきたことでもあるし、それから次に考えたことでもあります。
まず具体的に顧客視点の組織を創っていきましょう。1つはお客様プロジェクトを創りましょう。会社の中というのは大体縦割りの部門別に分かれています。会社がものを売りやすいように、作りやすいようにできています。これは当然のことです。しかしお客からすればそれは会社の都合であって、我々の都合からすればある程度自分のニーズに合ったものがまとまっている方がいいわけです。だからお客様プロジェクトのチームを創ったらどうでしょうか。
これを実際に会社の中でやったことがあります。各部門から人を出してもらって、Aというお客さんのプロジェクトチームを創りました。いろいろな商品が入っています。そこにチームリーダーがいて、いろいろな要望を聞いてくるということになります。これが1つのやり方です。
それから品質保証部というのがたくさんあります。品質保証部の名前を「顧客満足保証部」と変えたらどうですか? やり方ががらっと変わってきます。品質保証部はいかに良いものを作るか、そのための検査が主な仕事です。当然です。立派なことです。しかし顧客視点に立って満足保証部にしたらどうですか? QAをCQAにしたらどうですか? これは1つの考え方です。それが顧客視点の組織を創りましょうということです。
次に自己診断をする。これはもうお話ししました。情緒的なCSから戦略的なCSへ改革をする。その改革のツールは、QCでもISOでも何でもみなさんの組織に合ったものを使ってください。
そして高いレベルにしたものを維持していくときに非常に有効なのがISO9000の仕組みです。標準化ですから、鹿児島でも東京でも北海道でも、どこへ行っても同じ製品が出せる。日本でもアメリカでも同じ品質の製品、同じサービスが出せるというのはISO9000の非常にいいところです。
だからISOをやれば全体の品質が上がるというのは幻想にしかすぎません。ISOはそんな仕組みではありません。経営品質、戦略的CSで高めていって、改革をして、そのレベルを維持するに大変有効な仕組みなのです。

次お願いします。それでは応用編に入ります。チャレンジ。経営品質賞に応募して評価レポートを得る。評価レポートは宝物。得られる気付きは百万両。これはもう説明しました。これは大変価値のあるものです。

次お願いします。あとは費用の問題なので、ここは見ておいてください。本賞にチャレンジしても大企業で100万円、中小企業だと50万円です。経営品質評価プログラムという簡易版だと30万円で済むということなので、受けてみてください。100万円というと高そうですが、この審査にかけているコストというのは大変なのです。はっきり言って非常に疲れる仕事ですが、日本のため、国のためやらざるを得ない。

次お願いします。結果として日本経営品質賞の受賞を目指してください。あるいは茨城県でもできれば県の品質賞を目指してください。オリンピックで言えば金・銀・銅のメダルと同じです。やはりそのような成果、目標があって初めて人間は頑張るわけです。簡易プログラムの方ではベストプラクティス賞というのがあります。そして日本で最も賞賛される企業になっていくわけです。

次お願いします。次は推進者心得ですが気楽に聞いてください。
次お願いします。改革をするときに条件がいいということはほとんどありあません。悪条件の中で改革を推進できる者が真のリーダーなのです。ほとんど反対が多い。なかなか聞いてくれない。この経営品質協議会でいい話を聞いて社長に話したけれども、社長はもうひとつピンとこない。「そんなことをぐちゃぐちゃ言っているのだったら、お客さんのところに行って来い。一つでもいいから物を売って来い。」「うちの社長は分かっていないな。」これが当たり前なのです。これが普通なのです。普通と考えれば怒ることもできなくなります。不足する条件を整備する「もと」をつくることこそ改革の中心だということです。

次お願いします。まずそのためには自分が変わらなければいけません。社長さんがいらっしゃったらごめんなさいですが、「社長だめだな」ではなくて自分が変わる。そしてさらに一歩変わる。踏み出す。行動するということです。これが大事です。頭で変わっただけではだめです。行動する、体で表わすということです。これが全ての改革の原動力になってくるでしょう。

次お願いします。先程言ったように、まず人は聞いてくれません。「何か立派なことを言っているね。あなた、改革が好きだね。」しかしそれに負けてはだめです。やはり1つの信念というものを持たなければなりません。大体物事というのは思いどおりにならないことが普通だと書いてあります。そのとおりです。

次お願いします。変わるか変わらないか。これは気づくか気づかないかです。宗教家で托鉢の石川さんという方が言っている言葉ですが、「変わるか変わらないかは気づくか気づかないかである。気づかない人は変われない。気づくためにはどうするか。自分でやって見なければいけない。」

次お願いします。あまり考え方ばかり言っていても私は説教家ではないので、事例もお話ししましょう。岡本先生などからお話があったかもしれませんが、ディズニーランドというのはみなさんがよく知っているテーマパークです。大変楽しい所です。今度はイクスピアリなどいろいろなものも増えてきました。しかしなぜディズニーランドがあれだけ繁盛しているのか。それは単にミッキーマウスがいるから、あれだけの設備があるからというものではないのです。やはり経営の力が違うのです。それは社長の加賀見さんの話を聞くとよく分かります。
どんな考え方があるか。ディズニーさんの基本的な考え方は非現実的な世界を創り、維持する。これが基本ポリシーです。だからディズニーランドの中に入ったらあそこは違う世界なのです。ミッキーマウスの世界なのです。
中には綺麗な芝生があります。しかしそこにゴザを敷いてお弁当を食べることは厳禁されています。田舎のおじいさん、おばあさんに親孝行をしようと思って孫と一緒に連れて行った。おじいさん、おばあさんが孫と一緒に食べるのにとお母さんが朝早く起きておにぎりを作って持って行く。「綺麗な芝生があるね。そこでおにぎりを食べよう。」「お客様、それはやめてください。」「なぜいけないんだ? なんだ、営業政策か。あそこのレストランで食べろというのか。」「いや、そうではありません。空気が壊れるのです。ここは非現実的な世界を維持する所なのに、そういう超現実的な世界をそこで広げられては困るのです。」これは本当です。そして外に出してくれるのです。外に出た所に綺麗なお弁当を食べる所が作ってあるのです。お弁当を食べる所は外なのです。手のひらに光を当てれば分かるスタンプを押してくれて、外に出てもまた無料で入れるのです。「大変申し訳ありませんが、そちらで食べてください。」
次に言っていることがすごいのです。ディズニーランドはどこが競合先ですかと聞くと、お客様が比べる全ての企業、全てのやり方が競争相手だというのです。これはすごい考えではないですか。まさに経営品質の言葉です。自分の視点ではないのです。お客が比べるものが全て競争相手だというのです。だから全部のものが大事なのです。
去年のデータですが、驚いたことに入園者の95.3パーセントがリピーターだというのです。95.3パーセントです。しかも10回以上来ている人が46.8パーセント。半分の人が10回以上来ている。私も3回ぐらい行きましたが・・・・・・。だから一番の収益の源泉というのはリピーターが増えているということです。首都圏の中にポジションを占めていても、リピーターが95.3パーセント来なければあれだけ繁盛しない。
これは前のデータで、今はもう入場者も2000万人近いと思いますが、目標が2500万人。お客様1人が使うお金が9680円。
このようにずっとデータを取っている。事実で物ごとを考えるマネージメントバイファクトをきちんとやっています。全部分析しています。
しかも園内の売店では毎年3200品目の新商品を出す。毎年3200品目のお土産が変わるのです。だからお土産を考えている人は毎日考えているということです。次にボールペンを出そうか、携帯電話のストラップを出そうか、もう毎日考えていなければ3200も考えられません。毎年変えるから、次に来た人が常に新しい発見、新しい驚きがある。
他にもいろいろあります。一番のベテランがスイーパーという掃除をしている人です。世間の一般常識では、掃除は掃除のおばさんというと大変失礼ですが、アルバイトの人に頼みます。しかしディズニーランドはベテランの人なのです。なぜかというと、あの人たちは道を聞かれたり、どこの催し物がどれぐらいの待ち時間なのかなど、いろいろなことを聞かれるわけです。だからベテランでないと返事ができない。それからあの人たちは掃除をしながら、どこの催し会場にどれぐらいの人が並んでいるか、常に報告している。行列が長かったり、子供が騒いでいたりすると「あそこにミッキーマウスを行かせろ」ということになるのです。そしてそこで写真を撮ったりする。要するにいろいろなところで飽きさせない工夫をしているのです。大変なシステムです。
全ての人に語りかけ、歩み寄る。目線を合わせる。ディズニーランドの人はお客様が大事だととことん言われています。自分たちの給料はお客様からもらっているというのがあるので、子供とは絶対にしゃがんで話をしなさいというのが鉄則です。「いらっしゃいませ」とは言うな。「こんにちは」と言いなさい。「いらっしゃいませ」というのはプロダクトアウトの言葉です。「こんにちは」と言いなさい。子供とは絶対にしゃがんで話をしなさい。目線を合わせて話をしなさい。そういうことまで非常にうるさく言われているのです。
そして中でしょっちゅう報酬、褒章をやっています。心理的報酬、報い、認め、讚える。またみんながキーパーソンである。
こういう徹底した教育があって初めて95.3パーセントのリピーターが出てくるということになるのです。

次お願いします。この話は有名な話なので、聞いたことのある人もいるかもしれません。写真立てと子供椅子の話です。東京ディズニーランドのあるレストランに中年の夫婦が来ました。何の記念日なのか、大人2人分のランチとお子様ランチをオーダーしました。子供がいないのにお子様ランチとは不思議だと思ったウエイトレスは、「お子様はいらっしゃらないのですか?」とそっと尋ねました。その中年の夫婦は「実は子供を事故で亡くしました。その子がこのディズニーランドが大変好きで、しかもこのレストランのお子様ランチがとても好きでした」と静かに話してくれました。料理が運ばれ、当然ながらお子様ランチも運ばれました。そうするとその夫婦が内ポケットから子供の写真を出し、調味料立ての所にその写真を立てかけて食事を始めました。それを見たウエイトレスは思わず子供用の椅子を持ってきて、2人の間にさっと入れたのです。それと同時に奥から写真立てを探してきて、子供の写真をその写真立てにいれました。これは実話です。それに大変感動した中年の夫婦が、加賀見さんという社長に手紙を書きました。「私たちはとても感謝しています。大変いい思い出になりました。」
ディズニーランドはマニュアル重視でアメリカ的な仕組みでもっていると言いますが、そこまでのことはマニュアルには書いてありません。これがエンパワーメントというひとつの現れなのです。そういうことが現場で自然に行われるような経営の仕組みを作っていこう。これが経営品質の1つの目標でもあり、ディズニーランドがそれを実証しているという事例をお話ししました。

次お願いします。最近の社会現象からいろいろお話していこうと思います。
ひとつライオンの話をしたいと思います。ある雑誌に書いてあったのですが、「平時のライオン 有事の羊 と 有事のライオン 平時の羊」という話です。佐々淳行さんという方のお話です。披露しようと思ってメモしてきました。
有名な某乳業事件で、大変気の毒にあの会社は100億円以上の損害を出しています。それ以上に損失を被っているのが、「経営品質が低い。あの会社の態度は何なのだ」ということがあります。こういう現象を経営品質で見てみると、まさにカテゴリー1.1のリーダーシップ、カテゴリー1.2の社会的責任と企業倫理に尽きるのです。
あそこの社長はどちらかというと平時のライオンで有事の羊であった。何もない普通の時には口うるさく、細かく「利益を出せ。売上げをあげろ。白い物は一滴も残すな。何とか工夫して物を売れ。」有事、事が起きました。全然現状を知らなかった。「そんなことが起きているのか。そんなことはうちではあり得ない。誰がやったのだ。」
よくある現象です。何か事故が起きると、「誰がやったのだ」と犯人探しが始まる。犯人が見つかると始末書を書いて終わりというパターンが多いのではないでしょうか。何も改革は行われない。日本は昔から腹切り文化なので、腹を切って首を切ると、もうそれで一件落着するわけです。そんなことでは何の改善も改革も起きないではないですか。
あの社長は有事の羊でした。挙句の果てに入院してしまいました。私は間もなく64歳になります。私なんかピンピンしていますがいつでも入院できます。それぐらいのものは2つや3つ持っているのです。だから本当に体が悪いのかどうか分かりません。
そうではなくて平時の羊がいいのです。普段は社員を信頼して、仕組みをきちんと作って、アセスメントをして、問題点を改革して、ガタガタ細かいことは言わない。しかし事が起きたときには、自分が先頭に立ってそれに対処していく。やはりこれがリーダーの役割ではないでしょうか。経営品質のカテゴリー1.1というのは、そういうリーダー、リーダーシップの発揮の仕組みを求めているのです。このことからも1つ勉強になると思います。
もう1つは千葉すずさんの話です。よくご存知ですね。水泳でオリンピック選手になれなかった人です。国際的なスポーツの判定委員会に提訴しました。日本人の感覚だと「すごい女性だな、気が強いね」というところです。千葉すずさんという人は元々アメリカ生まれなので、おかしいと感じたのでしょう。要するにこれもカテゴリーの1.2の問題です。「選考の過程が不透明である。どういうふうに選ばれるのですか?」と聞くと、今までこんなことを言う人がいなかったので、水泳連盟の方がびっくりしてしまった。「俺たちが決めるのだ。」「それは違うのではないですか? オリンピック選手になるかならないかは、あなた方役員が決めるのではない。選手が勝ち取っていくものです。そのためにものすごく練習をし、これだけの実績をあげているではないですか。なぜそうしないのですか? なぜ認めないのですか? 何かはっきりしない基準があるのではないですか?」そして後になってから基準が出てくる。
カテゴリーの1.2。水泳連盟は非常に経営が不透明である。これを透明にしなければいけない。古橋さんもこれに反省して、「これからはそういう基準を透明化していかなければいけない。」
この考え方は全国に広がっています。いろいろなところで不透明です。某自動車会社もいろいろなことを隠してきたので問題になっています。
だから今、隠してはいけないのです。今はインターネットの時代です。内部告発で少し書けばすぐばれる時代なのです。もう隠しおおせるものではないのです。だからきちんと、そういうものを早いうちにオープンにしておかなければならないということがここから学べます。

もう1つ、オリックスのイチロー選手の場合。この選手はすごいのです。面白い話があります。イチロー選手が小学校6年生の時、卒業文集を書きました。『思い出、仲間』という文集だったそうです。これがすごいのです。びっくりしました。少し読み上げてみます。
「僕の夢は一流のプロ野球選手になることです。そのためには中学や高校で全国大会に出て活躍をしなければいけません。活躍をするには練習が必要です。僕は3歳の時から練習を始めています。3歳から7歳までは半年ぐらいやっていましたが、3年生の時から今までは365日中360日は激しい練習をやっています。だから1週間中友達と遊べる時間は5、6時間の間です。そんなに練習をしているのだから、必ずプロ野球選手になれると思います。そして中学、高校で活躍をして、高校を卒業してからプロに入団するつもりです。そしてその球団は中日ドラゴンズか西武ライオンズが夢です。ドラフト入団で契約金は1億円以上が目標です。」6年生です。すごいです。「僕が自信があるのは投手と打撃だけです。去年の夏、僕たちは全国大会に行きました。そしてほとんどの投手を見て来ましたが、自分が大会ナンバーワン投手と確信ができました。」すごい自信です。「打撃では県大会4試合の内にホームランを3本打ちました。そして全体を通じた打率は5割8分3厘でした。」今でも4割打者ですが・・・・・・。「このように自分では納得のいく成績でした。そして僕たちは1年間負け知らずで野球ができました。だからこの調子でこれからも頑張ります。そして僕が一流の選手になって試合に出られるようになったら、お世話になった人に招待券を配って応援してもらうのが夢の1つです。ともかく1番の夢はプロ野球選手になることです。」原文のままです。
すごいです。6年生ですよ。明確なビジョンを持ち、指標を掲げ、それを公開し実行して成果に結びつける。経営そのものではないですか。そうでしょう。リーダーというのは経営においてまさにこれをやらなければいけないのです。難しく言うとビジョン、ミッション、戦略課題、指標です。
そしてその後どうなったかというと、契約金は1億円ではなく4000万円でした。入ったところもオリックスでした。しかし1994年の名古屋球場のオールスター戦で、やはり招待券を配って、きちんとお世話になった人を呼んでいるのです。そしてイチローというのは本当に4割打者。ものすごい男だと思いました。
明確なビジョンを持つこと。指標を掲げること。それを公開し実行して、成果に結びつけること。こういうことが非常にはっきりしている。イチローというのは小学校6年生の頃からやっていたのです。
私はこのコピーをもらって読んでびっくりしました。これこそ経営品質でやらなければいけないことなのです。ここまでやるのは大変です。しかしこれは単なる希望、願望ではないのです。ものすごい練習をしているのです。今でもそうです。ものすごい練習をして自信の裏付けがあるのです。
そして後から書いています。「僕自身は練習に裏付けられた自信だと思いますが、当たり前に思っていました。」ここまでやるかということです。大変にすごいことです。
だから最近の社会現象からいろいろなことが経営品質で語れます。是非みなさんも経営品質で語ってみてください。いろいろなことが分かってきます。
次行きましょう。次に東洋学の思考三原則です。参考までにお話します。この経営品質の考え方は何もアメリカから来た考え方ではありません。東洋学という古くからの考えがあります。視野、視座、視点という3つの視点で物事を見ましょう。長期的な視野で見ましょう。多面的な視座で見ていきましょう。本質的な視点で見ていきましょう。これが東洋学の1つのものの見方、思考三原則です。
このように見ていくというのは大事なことです。そうすると経営の本質が分かってくるということになります。

次お願いします。大事なことは企業もそうですが、ここにいらっしゃる1人1人の心のクオリティです。精神論のようになりますが大事なことです。岡本先生がよく言われる会社を滅ぼす3つのCというのがあります。Conceit思い上がり、Complacency自己満足、Conservatism保守主義の3つです。これは何も企業だけではなく、個人の中にも全部入っています。少し偉くなると思い上がり、自己満足します。思い上がり、自己満足、保守主義に共通するものは変わりたくないという考えです。「俺はこのままでいい。俺が一番偉いのだ。Japan as №1.」こうなるととたんに階段はどんどん下に下がっていきます。企業の組織でも同じです。まず自分が変わり、会社組織も変えていくというのが基本になります。

次お願いします。経営改革成功の鍵についてまとめてお話しします。やはりここにいらっしゃる方はみんなリーダーです。1つの組織、1人の部下がいれば全部リーダーです。リーダーのヤル気と辛抱が鍵です。「それは時間で測る」というのは、時間をかけてくださいということです。それから行動に移してください。また最適な人を選んでください。そして最後にみなさん1人1人がアセスメントスキルを持ってください。アセスメント、経営品質賞の審査基準、クライテリアにのっとった物事を見る見方を持ってください。先程の社会現象もあの基準の中で見ていくと明解に分かってきます。そういうスキルを持ってください。

次お願いします。これは堺屋太一さんが言っていることですが、改革というのは目先のヤリ方を変えることではありません。お客様の視点に立って、意識を変え、経営の仕組みを変え、実践をして見直して成果を出す。まさにこれは経営品質賞そのものです。桃・栗3年柿8年というように時間はかかります。

今日はいろいろなことをお話ししました。推進をするということはそう簡単ではありません。ですがこれはもうやる気と、これをやることによってまず間違いなく会社が良くなる。自分も良くなる。地域も良くなる。だからこれを推進しない手はないわけです。
イチロー選手のこの小学校6年生の時の文集を見てください。彼はそのように実践をして、大変辛い思いを克服しながらあそこまでの選手になっているわけです。だから今も4割バッターなのです。私はやはりこれが1つの経営品質の考え方の成果ではないかと思います。
また後ほど時間をいただいて質問等も受けたいと思います。これで私の話は一回打ち切って、また10分ほど休憩したいと思います。どうもありがとうございました。

(休憩)

それでは質問に答えたいと思います。その前にまず挨拶させていただきたいと思います。
経営品質アセッサー協議会というのは、現在全国で約2600人います。これは今年の5月の時点で認定を受けた人です。毎年半日ぐらいの講習で更新をするのですが、その講習をうけた人が2600人ぐらいいるということです。その後コースを終了して、今年の認定アセッサーになった人がおそらく約100人いるでしょう。
JQAのアセッサーということで、日本経営品質アセッサー協議会の略称をJQAAといいますが、その人たちに毎月JQAA通信という通知をEメールで出しています。現在こういう活動をしています、こういうニュースがありますといったことが中心です。
またそれぞれのアセッサー協議会が、既存のものとしては全国に5つあります。今度茨城で出来上がり、6つになります。西の方からいくと大阪、名古屋、福井、新潟、茨城、仙台ということになります。
東京での会合は毎月1回月例研究会があり、いろいろな方を呼んで夜の6時から8時まで講演会をやっています。実はちょうど明日、その月例研究会があります。先程手代木さんがリッツカールトンのなんとかという立派なホテルに泊まりそこなったと言っていましたが、実は日本にも大阪にリッツカールトンホテルがあります。明日そこのクオリティマネージャーの桧垣真理子さんをお呼びして、日本の大阪のリッツカールトンホテルがどんな経営品質活動をやっているのかということをお話ししていただく予定です。当然9月も決まっているし、10月、11月、毎月例会を行っています。これが1つのやり方です。
中心的には月例研究会ですが、その他にこれからみなさんの希望を入れて、いろいろな勉強会をやっていこうということです。アセスメントを実際にもう1回やってみようとか、こういう勉強をしてみようとか、いろいろなことをやっていこうと考えています。
茨城でアセッサー協議会を立ち上げてもらうということは大変ありがたいことです。何と言っても経営品質の活動の中核になるのは認定アセッサーです。これはアセスメントをする技術と同時に推進者でもあるわけです。この人たちが中心になって進めてくれるということなので大変ありがたいことだし、また一段と弾みがついていくのではないかと思います。
このアセスメント技術というのは決して頭の良し悪しではなくて、ただ1つ経験なのです。ゴルフと一緒です。回数です。回数をやればうまくなるのです。だから何回もアセスメントを経験してみないとなかなか分かりせん。本を読んだだけ、勉強しただけ、またグレード1・2・3のコースを終えても、なかなか的確なアセスメントは難しいのです。実際の審査活動をやっても、なかなか的確に経営を読むということは難しい。それはそうです。経営というのは優れた社長が命をかけて会社を経営しているわけです。しかも何十年とやっているところもあるかもしれない。それを簡単にああだこうだということは言えません。だからやはり真剣に見る。しかも経営に対する視点、洞察力、審査基準書の理解が重要です。あまりこういうことを言うとみんなさんを驚かすことになり、尻込みされると困るのですが、これは経験なのです。何回もアセスメントするといろいろなことがだんだん見え、気が付いてきます。
だから経験を増やしていく場、先程のBaを提供して、勉強してもらうことが大事なことなのです。そういう意味でアセスメント教育、それからアセッサーになった人が経験する場をアセッサー協議会の中で作ってもらうと、大変に効果があるのではないかと思います。
それぞれのアセッサー協議会の活動というのは、それぞれの地方の自主的な運営なので自由にどんどんやってもらいたい。東京でやった資料やビデオはどんどん送るようにしているので、是非そうしてもらいたいと思います。
アセスメントスキルのレベルを上げていくことが、的確にアセスメントができるようになることにつながります。またこれが経営を良くすることになっていくので、是非活発にやってもらいたいと思います。
最終的に茨城県経営品質賞というものを作ったときには、是非茨城は茨城の人たちで審査をしてもらいたいと思います。是非お願いします。今新潟・福井で、新潟県経営品質賞・福井県経営品質賞があるのですが、残念ながら新潟の人、福井の人では審査ができないのです。だから我々が出かけて行って審査しているのです。もうこれは勘弁してくださいと言っているのです。そうでしょう。いろいろな所でできたらそんなに行ける人はいません。東京から行ったらお金もかかります。
今、手代木さんからお話があったように、カルフォルニアはカルフォルニア、テキサスはテキサスで、ミネソタはミネソタでやっているのです。アメリカというのは合衆国です。州が1つの単位です。州が集まって国を形成しているので、州の意識が非常に強い。だからアメリカ全体のボルドリッチ賞の審査員は全部州から派遣されます。日本と逆です。日本は真中があって、そこから行かなければならない。
だから是非、茨城の審査は茨城でやってください。そのためには底辺を広くしなければならないので、是非みなさんに学んでもらいたいと思います。
そのようなことで、活発に活動されていることに対しては心からお礼を申し上げますし、敬意を表したいと思います。是非この運動を進めていただきたい。そうすることによって必ず成果が上がってくるので、みなさんの身近な生活環境がどんどん良くなっていきます。私も全国的なアセッサー協議会を3年前に立ち上げ、今年で4年目ですが、また鬼澤さんを中心にしていろいろと援助していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

では質問の方に入ります。質問をだいぶいただきました。時間もないので1つ1つに簡潔にポイントを答えていきたいと思います。

最初は大変難しい質問です。
質問:過去の成功体験を持った人たちを委員に任命したときの、その人たちの意識改革を促すためのコツを教えてください。
堀:これは難しいです。企業の中で役職者を委員に選んだ場合には、ほとんど全員が成功体験を持っています。しかもそれは過去の成功体験です。だからこの人たちに意識を変えなさいというのは非常に難しいのです。なぜかというと成功体験というのはその人のよりどころです。生きがいです。生き様です。しかしこれから改革をしていくためには経営の見方を変えてもらわなければなりません。これを切り替えるのは非常に難しい。
一番基本的な方法をお話しします。これはやはり経営品質賞を勉強してもらい、簡単に理解してもらうことです。経営品質の審査基準を理解してもらう。こういう見方で見るということを理解してもらう。しかしこれが難しいのです。「そんな難しいことやっていられるか。こんなややこしいこと、何が書いてあるか分からない。」
次の2番手。分かりやすく経営品質賞の審査基準の話をするこういう場に来てもらう。自分の成功体験がベースになっているのだから、もう1つは成功した事例、ベストプラクティスを極力お話しする。以前のやり方ではこれからは難しいということを話すのです。
例えば営業のやり方で、夜討ち朝駆け。これが営業のコツだと営業成績をあげて部長になった人がいる。「営業は芸術だ。夜討ち朝駆けだ。売り込むためには身を惜しんではいけない。」「夜討ち朝駆けだけですか?」「いや、夜討ち朝駆けと交際費、接待費。これだよ。あとは値引きだ。」こういう人たちをどう説得するか。これはやはりそうでない方法で成功した事例をお話しするしかないのです。これでうまくいっているのです、そんなことをやらなくてもいいのですという例を話す。これはなかなか大変です。
方法は2つあります。1つはこの審査基準書の考え方を理解してもらう。これがいちばんオーソドックスな方法です。もう1つは、やはり他で成功した事例をお話しするということが参考になります。そうでないとやはり信用してもらえないのです。しかしこれは時間がかかります。時間がかかり大変ですが、やるしかないと思います。

これは篠原さんという方です。
質問:社内セルフアセスメントについてですが、今現在、他部署のセルフアセスメントを6名のメンバーでやっています。先日合議審査を行いましたが、私の評点だけがとても低く、他の5名は高い評点をつけていました。というのも、その経営品質報告書には素晴らしいことばかり書かれていて実態がよく読み取れなかったため、私は低い評点をつけました。他の5名は社内アセスメントでは書いてあることだけを信じて、まずは評価することが大切だと言っていました。これはどうなのでしょうか? 
堀:1人だけ違っているということは間違いということではありません。アセスメントをし、合議審査をするときに、いろいろな角度で点数が開く方が当たり前なのです。その方がいいのです。なぜかというと、1つの物事を見るときにいろいろな角度で見るからです。
日本は1つの島国なので、日本民族は均一的な社会です。言葉も一緒、多少北方系と南方系もありますが顔もほとんど一緒、ものの考え方もほとんど一緒です。こういう国というのは結構珍しいのです。アメリカなんかばらばらです。だからアメリカではいろいろな考え方をするのが当たり前というのが社会常識です。だってそうでしょう。アメリカ人、東洋人、いろいろいるわけですから・・・・・・。みんな価値観も宗教も違う。いろいろな考え方をするのが当たり前というところから出発するのです。
しかし日本は同じ考え方をするのが当たり前というところから出発しています。だから違った考え方をすると、「お前はおかしい」「あいつは変わっている」ということになる。そしてどうもあいつとは一緒にやれないと排除します。これでは困るなのです。
人間というのはいろいろな見方があります。これから日本の人口が減って、外国人がどんどん入って来ざるを得なくなります。それでなくては経済が成り立っていきませんから・・・・・・。そうなるとますます多様な考え方が出てきます。その多様な考え方をみていかなければならない。1つの物事をこちらから、あちらから見たいろいろな見方があるのです。間違いではありません。
そしてよくそこで話し合いをする。それが対話、ダイアログということです。ダイアログデシジョンと言いますが、対話、話し合いをして物事を決めていきましょう。大久保さんもよく言われると思いますが、そのためにはコミュニケーションであり、1つはよく聴くということです。相手の言うことを聴く。「私はここしか見ていなかった。相手はこちらから見ていたのか。なるほど」ということです。相手の違った見方もみるということです。
だから自分の点数だけが低かったというときは、自分がなぜ点数を低くつけたか、あるいは高くつけたかという理由をきちんと話さなければいけません。我々も審査をしてアセスメントをやるときに当然点数が違ってきます。そのときに自分はどういうところを見てこのような見方をしたのかきちんと言います。そして別の人も言います。そして話し合いをして分かった人は直していく。そこでどんどん直せばいいのです。違った見方が気づきになるので、そこで自分を直していけばいいのです。違っていることは決して間違いでも恥でもありません。見方、価値観が違うだけです。書いてあることが読み取れなかったということも1つの見方なのです。だからダイアログ、対話を進めていくということが大事だと思います。

次に廣瀬さんという方からです。
質問:品質向上プログラム推進組織についてお聞きします。委員は部門の部署長ということでしたが、この方法だとそれぞれの部に話を広げるときに、職務として伝達、あるいは肩書きがものを言ういわゆる指示・命令になってしまいます。気づき、思いといった原動力になるエネルギーが無機質なものになってしまう恐れはありませんか? 現場第一主義という考え方で若い人に任せた方がいいと思いますが、いかがでしょうか? 
堀:そのとおりです。若い人に任せるのがいちばんいいのです。しかし若い人に任せてもなかなか決まったことが通りません。企業の中でいろいろな改善活動をやって、プランを出し、つぶすのは誰か。全部上の人間です。「こういう書類は要らないと思うのでやめます。」「このやり方は使われていないのでやめます。」上に聞くと「いや、必要かもしれない。あると便利だからやっておけ。」保険仕事です。「いつこれが必要になるかもしれないからデータを作っておけ。」減りません。担当では減らすことはできないのです。上でしか減らせないのです。私はよく言いました。「事務を合理化できるのは上の人間です。下の人間はできません。」提案し、情報は集めるけれど、上が決めないことには合理化できないのです。それが組織というものです。
だから若い人にもどんどんやらせてください。しかし会社の中で推進する為には、部署長にまずやらせなければいけない。本当は社長からやってもらうのがいいのです。そうしないとこれは浸透しないのです。全部上の人、やっていない人がつぶしてしまうのですから・・・・・・。上の人はいろいろな権限を持っていて、それが組織というものなので、その権限を無視するわけにはいけません。実際問題できない。つぶれてしまうのです。だから経営品質というのは上からやる改革なのですということを言っているのです。もちろん担当の人にも進めてもらいたいと思います。

 小松崎商事さんからの質問です。
質問:少人数、5名程度の推進方法は? 
堀:これは何名でもできます。経営品質向上プログラムというのは、別にある程度の人数が必要だということはありません。5名でも十分にできます。5人がみんなアセッサーになったら瞬く間にできます。全員とまではいかなくても3人やっていればやりやすい。だから人数が少ないということは非常に意思の疎通がいい、コミュニケーションがよくできるということです。パッと決まる。みんなが分かり合えるということです。人数が多くなれば多くなるほど広げるのに時間がかかるので大変です。だから中小企業の場合、非常に変わり身が早いです。やはり大きな企業だとなかなか変わらない。変えられないのです。だから5名程度の場合には非常に早いです。
そして5名程度の推進方法として特別なことがあるわけではありません。やり方は同じです。やはり経営品質というものを学んでもらって、啓蒙運動をよく理解してもらう。また審査基準をよく理解してもらい、全員でなくても半分ぐらいの人がコースで学んで、他の人に伝える。そして5名の組織でもまず自分たちで品質報告書を書いてみる。それで十分にできます。格別な方法はありません。人数が少ないということは、かえって非常にやりやすいということになります。

 菊池さんという方からです。
質問:会社の社長、または部・課長クラスではなくて、例えば一会社員、主任または女子社員でも経営革新としての日本経営品質賞の活用ができるのでしょうか。
堀:先程の質問と同じですね。これは同じようにできます。組織の中でやるには上からやった方がやりやすいし、パッと伝わるわけです。経営力、経営の改革なのでトップからやってくださいということです。現場の改善ではないのです。現場の細かな事務合理化の方法ではありません。経営の改善なので上からやってください。しかし当然ながらそれは全社一丸となってやるわけなので、会社員、主任、女子社員でもできるわけです。また是非やってもらいたいと思います。普通に上にやらせてもどんどん下におろしてくるので、上からやるといっても自然に流れてきます。だから同じことです。そしてその方が非常に活性化してくるということになります。
やはり若い人はずっと若いわけではないので、今勉強している若い人が10年経って幹部になったとき、このことを続けたら素晴らしいことだと思います。いくらでもできるので、是非やってもらいたいと思います。
 
 四国の方です。
質問:経営の場でディズニーの話をよく聞きます。東京だけではなく、関西地区にもディズニーランドができないのはどうしてでしょうか? 経営品質の目から見た場合の感想は?
堀:これまた難しいですね。なぜ関西にディズニーランドがないのか。これはちょっと社長に聞いてみなければいけませんが・・・・・・。
やはり1つの事業を起こすときには、まず環境、領域を考えるのです。事業なので、どこでやろうか、どの辺のお客さんが対象になるのかという立地条件があります。ディズニーの場合にもある程度広い土地がいる。それからやはりマーケット、人口というのがあります。そうすると首都圏というのは非常に大きなマーケットです。そしてその周辺の人を呼ぶことができる。それから空港が近いなどの立地条件はどうかということで浦安の埋立地を買ったわけです。そのような条件が整わなければいけない。
アメリカでも2、3ヶ所にあるので、関西でも無理はないと思います。しかし日本の場合には、関西ではディズニーではなくてユニバーサルスタジオでしたか、何か別のことをやっています。
ただ私が今日お話したかったのは、こういう形ではなくディズニーの経営の考え方です。だから経営の考え方がうまくいかないと、同じものをもっていっても経営がうまくいかないという例はたくさんあります。パリのディズニーランドというのはうまくいっていないという話ですね。それは形ではなく、経営のやり方なのです。ミッキーマウスがいるかいないかではないのです。経営の考え方です。95.3パーセントの人がリピーターとなるような、もう1度来たいというような考え方です。
今日はお話しできませんでしたが、千葉夷隅ゴルフクラブというゴルフ場があります。あそこもリピーターが多いのです。それはまた来たいという気持ちが持てるように、絶対に不満は帰りの車に乗せないということ、ゴルフ場に行く看板よりも帰りの看板の方がよく見えるようにするなどのいろいろな工夫があるのです。普通は客が来てお金を払ってくれたらもう知らない。釣った魚に餌はやらないのですが、これではないのです。次に来てもらうためには、釣った魚に餌をやらなければ死んでしまうではないですか。そういう経営の考え方です。それがリピーターを増やすのです。そして自分たちの利益をいちばん出してくれるのはリピーターです。しかも自分たちの営業を増やしてくれるのはお客様です。
事業領域と環境というのがあるので、関西でも不思議はないと思いますが、いろいろな意味で場所、環境の問題がうまくマッチングしなかったのではないか。考えていないわけではないと思います。ただ、ユニバーサルスタジオなど別のものができると、ちょっと難しくなるかもしれません。

最後の質問です。
質問:経営品質の審査基準書が毎年変わりますが、その変更のためにどんな取組みをされているのでしょうか?
堀:これは審査基準書の改定委員がいて、毎年その人たちが中心になってやります。別にその人たちの考え方で変わっているわけではなくて、アセッサー、審査員の資格を持っている人から全部意見を集めます。細かいことまで全部くるので大変な数になります。それを全部集めて検討します。実は2001年度は経営品質賞を作ってから5年になります。今まではマイナーチェンジでしたが、来年はモデルチェンジ、大改訂をしようということで、先週その打ち合わせをしました。アセッサー、審査員から意見をもらい、主任審査員が全部集まって1日喧喧諤諤の議論をしました。議論をするというより両論併記です。だから「こうすべきだ」「そうではない」という意見も両方書いておく。そして全部意見を出してもらう。ここでも言い足りなかった人はメールで意見をくださいということで、全部の意見をまとめて整理します。アメリカや日本の今の動向も考慮していきます。
そして一番大事なことは企業がどんどん変わっていることです。極端に言えばネット企業、バーチャル企業が出ています。要するに工場があり、設備があり、人がいてというのだけが企業ではないのです。そんなものが何もないところもあるのです。そのようにどんどん変わっています。全く架空の、ネット上に会社があるような会社もある。それから国際化ということでどんどん関税障壁がなくなりました。だから日本の企業でありながら、社員の大半は海外にいる、外国人だという会社もあります。そういう国際的な企業など、企業の形がどんどん変わっています。商法などいろいろな法律が追いつかないほど変わっています。そういうものも考慮するということです。
そして先程手代木さんからお話があったように、経営品質向上活動は病院や学校でも、それから自治体ではかなり進んでいます。こういうところのクライテリア、基準書というものも考えていかなければいけないのではないか。実際には病院でも、青梅慶友病院などがどんどん始めています。学校などは深刻で、特に東京近辺の女子短大などは深刻です。何しろどんどん人が減っているので入学定員に満たないのです。それがますます激しくなっていく。学校経営者としては重大問題です。授業料が入らないので学校がつぶれてしまうのです。
そんな意味もあって、基準書というものの幅が広がっています。そういうことも考えてどこまで変えられるか、これから12月まで検討していきます。モデルチェンジだからと言ってがらっと変えたのでは継続性の問題もあり、大変迷惑なので難しいのですが、検討しているところです。

 質問に対する答はこういうところです。会場から何か質問はありませんか?
 
長時間、ありがとうございました。