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2011年2月例会の様子

テーマ: 超お客様満足主義!経営品質の理念が会社を救う
      ~伸びている企業を徹底解剖!見えてくる自社の経営革新~

講 師: 望月 広愛 (もちづき ひろちか)氏
      (株式会社静鉄ストア 代表取締役社長)

 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら』という本がベストセラーになっています。「経営品質賞アセスメント基準書のフレームワークである『タンスの8つの引き出し』は、ピーター・ドラッカーの思想から出ています」と語る望月広愛氏の講演は、これまでになく経営品質の考え方が、わかりやすくまとまっているものでした。
 私たちは、ものの見方・考え方の原点をややもすると忘れがちになります。徳川幕府が崩壊した時代の日本の人口は3300万人。現代までに1億の人が増えました。しかし、いま10歳以下の子供は半減しているといいます。「日本は初めて人口が減少するという課題に直面する。これからの時代は、知恵を絞った人が生き残る。そのためにもきちんとしたしくみづくりをしていくことが大事です」と望月氏は語ります。設計図を作って、改善していくには、経営の4つの柱である「従業員重視」「顧客本位」「独自能力」「社会との調和」のバランスを考え、経営の基本に立ち返ることが大事だと氏は強調します。時間をかけてつくりだしたものは、他社にはマネできないという考えがその根底にあります。
 岐阜県に本拠を置くイタリアンレストランチェーン「(株)ロッソえびすや(現J・アート・レストランシステムズ)」は、1999年当時赤字のレストラン。「会社では社員が一言も話さない雰囲気ありました。しかし会社を出ると社員文句ばかり言っていました。」そんなレストランの社長に就任した望月氏は、お客様に喜ばれることであれば3万円の経費を使ってもよいという決まりをつくり、パートの人たちにも意見を聞いて、女性トイレに「つまようじ」を置いたり、お客様が待ち時間に読めるようパートの人たちが本を持ってきたりしました。考えられるサービスを社員とともに実践することで、現場で働いていた社員たち次第に元気なっていったといいます。
 しかし最初の1年間で単年度5000万円の赤字。債務超過に陥ってしまいました。さらに追い打ちをかけられ、2000年投資ファンドが参入してきてから会社がおかしくなり、4月に望月氏は退任。しかし経営再建を受けて同年12月に復帰。レストランを継続するために15億という借金の保証人になりました。
まず再建に向けて望月氏が取り組んだのは、価値観の共有化。「8つの約束」という理念を決めて従業員全員にそれを徹底することから始めました。社員たちには、自分の言葉で話しをさせ、儲かっていないにもかかわらず全員を週休2日制の勤務にしました。理念の徹底をやったら、やめて欲しい社員が軒並み辞めていきました。また情報カードを使って、現場のアルバイトに至るまで情報の共有化を推進しました。赤カードはお客様のクレームや自分の不満。青カードはお客様や周囲の仲間への感謝の言葉を書いていきました。青カードに感謝の言葉を書くということは、言っている方もやっている方も楽しくなり、しばらくすると社員から「人のために仕事をしたい」といいだしました。社員がお互いに思いやりを持てるようになり、社会で評価される人間になっていきました。2004年黒字化達成。3億円の累積損失を一掃させ、2005年に経営品質賞を受賞しました。
 「中小企業では、社員の変わりなる者はいない。また組織風土改革は、10年スパンで取り組むもの。すぐに変われるものではない。組織風土のいうものは、働く者たちの自主性と創造性を育むしくみである。長期的な風土づくりと短期的な成果活動は両方やらなければならない。」という望月氏のメッセージが印象的でした。私たちは現実の声に耳を澄まし、いま始めるべきことは何か、原点に返ってあらゆる組織でしくみを構築していかなければならない時代に遭遇しているようです。
                                         (運営委員 清水 賢一)