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2011年5月例会の様子

『経営品質を活用した経営革新の実践』
~セイコーエプソンの企業文化と情報機器事業における取り組み~

講師:木村 登志男(きむら としお)氏
(法政大学大学院 イノベーションマネジメント研究科 客員教授)
(  元セイコーエプソン株式会社 代表取締役副社長兼CFO    )

 東日本大震災から約2カ月がたった5月17日の例会は、震災後初めての例会でした。ご講演いただいた木村登志男さまは、2001年セイコーエプソン?専務取締役事業本部長の時、日本経営品質賞を受賞され、現在は、法政大学ビジネススクールイノベーションマネジメント研究科客員教授としてご活躍をされていらっしゃいます。
 私は、震災後初めての例会で、木村様にご講演いただけたことに、神様が授けて下さった運命的な意味を感じてなりませんでした。
 それは、セイコーが今日にいたるまでには、二つの歴史的な出来事を乗り越えてこられたというお話をうかがったからです。一つ目の歴史的な出来事は、1923年9月1日の関東大震災です。この時の大震災で、精工舎は全焼。一旦は精工舎も解散したそうですが、震災から4日後の9月5日には、社長の服部金太郎氏から「精工舎再開宣言」が出され、震災から8年後の1931年には震災前の水準を凌駕するほど復興されました。二つ目の出来事は、太平洋戦争。精工舎も軍需工場となっていたそうですが、終戦と同時に時計産業への復帰を宣言。「スイスに追いつき、追い越せ」を目標に「世界の時計SEIKO」を標榜されたそうです。現在では、世界のSEIKOということは常識ですが、当時、スイスの存在は大きく、追い越すなんてとんでもなく、追いつくことさえ難しいとされていた時代ですので、現在のSEIKOブランドを見ると、リーダーのビジョンというものがいかに重要かを感じることができます。茨城のリーダーの皆さま。どうぞ心にお留いただければと存じます。この二つの歴史的な出来事を乗り越えられて現在にいたっているという姿は、私たちに勇気だけではなく大きな価値を魅せてくださっているように感じてなりません。
 今回の、木村様のお話では、前記したお話の他、多くの面で、リーダーのあり方を感じました。時計事業を牽引した中村恒也社長の「リーダーのキーワード10」?ビジョン  ?部下を信頼する ?情熱 ?説得する技術 ?常にエンドユーザー ?決める ?真実に謙虚 ?常に前向き ?三現主義プラス先見性 ?加点主義 は、経営品質が掲げる考え方そのものです。
 そういったトップリーダーの思いが継承されている環境を木村様は「日本経営品質賞からという革新的なものではなく、精工舎時代からの遺伝子であったり、中村社長の思いであったり、すべて企業文化につながっている」と表現されました。
 「会社は社長の器以上にならない」など、表現は違えど、現在のこの危機的状況を乗り越えるには、やはり、企業も組織もトップリーダー次第といっても決して過言ではないのではと感じます。
 レジェメの最後書かれていた『経営品質で作り上げた体制は、やがて制度化し、制度疲労を起こして破綻する。敵は、「後追い・内向き・自己目的化」である。常に経営革新を怠らない注意力と気力と知識・能力が必要。「事業は夢で始まり、情熱で伸び、責任感で安定し、そして官僚主義で滅びる」制度は常に官僚主義と背中合わせである。』という木村様からのメッセージでこのたびのレポートを結ばせていただきます。
                                          (運営委員 菅原 琢也)