2月17日(火)
この「経営品質講座」は毎週日曜日に更新する予定でしたが、今回は遅れてしまいました。
月曜日の朝に楽しみにされて方々、申し訳ありませんでした。
さてさて、先週末に私もTVのニュースを見て驚きましたが、さきほどのニュースによると予算案通過に辞任されるようですね。野党は今すぐにも辞任すべきだと徹底抗戦の様子。世間が戦後最悪に近い経済の状況になっているのに、政治が機能しなくなっています。
困ったものです。
しかし、就任前から、「言葉(失言)に気をつけた方がいい」と言われていた人、「お酒に気をつけた方がいい」と言われていた人が、そろって「やっぱりやってしまったか」ですから、これは本人の問題もさることながら、選ぶプロセスに大問題ありということなんでしょうね。
今回の「経営品質講座」ですが、ちょっとこれまでの流れとは変わりますが、そんな政治のリーダーを見ていて感じた「リーダーの資質」について考えたいと思います。
リーダーシップの師匠である米国ワシントン大学のベティン教授から学んだ「未来を創るリーダーシップ」を紹介しながら進めていきます。
私もリーダーシップを初めて学んだときには、当然のように「スキル」をたくさん学びたいという気持ちが強かったのですが、ベティン教授に気づかせてもらえたのは、リーダーシップのスキルを学ぶことは大切なことだけれども、どれだけ身につけても人は動かないし、組織は相乗効果を発揮しないということ。
その前にリーダーとしての心を磨かなければならない、資質を高めなければならないということでした。
心や資質は、持って生まれたもので変わらないのではなく、磨き、高めることはできる。
しかしそれには当然時間がかかる。
ベティン教授は、MBAで学んでもすぐに優れたリーダーになれることはない。
逆に昔の日本のように、幼少時から指南役(メンター)がついて躾、ものの見方や考え方(死生観・世界観・歴史観など)、立ち振る舞い方などを教育していけば、若くして君主になることができると話をされていました。
日本の政治家も2世、3世が多いのですが、どんな教育を受けてきたのか興味がありますね。
さて、「リーダーの資質」をいくつか紹介していきます。
まず何よりも大切なのが、
『誠実で何事も首尾一貫していること』
「倫理にかなった行動を取ること、そして正直であることは、プロフェッショナルとして一番大事なことであり、リーダーが人から信頼され、組織(チームのメンバー、上位の管理職、顧客、納入業者、同僚など)の尊敬を集めるために欠かせないものである。
誠実性を欠き、首尾一貫していないと、リーダーは往々にして策を弄する人だと思われ、信用されない。」
誠実で何事も首尾一貫しているリーダーとは、
・個人としての行動のなかに高い倫理基準が貫かれている
・いつも真摯に努力している
・信用を守る
・人に対してオープンであり、正直である
・人に対してフェアに接する
・決めたことをきちんと実行し、途中で逃げない
・人から信用される
これは東洋、西洋かかわらず人として一番大切なところですね。
英語では、「integrity(インティグニティ)」です。
さらに続けます、
『人を尊敬し、大事にすること』
「リーダーはチームのメンバーひとりひとりについて、その人固有の技術、能力、そして性格を見分け、それを活用しなければならない。人と人との差異は限界ではなくて資産であり、良い機会であると思わなければならない。チームというのは職責や地位に関係なく、すべての人がお互いを尊敬し、大事にして初めて効果的に機能しうるのである。
最も効果的なリーダーというのは一緒に仕事をする人々のことを心から気遣い、必要なときには彼らをいつも助ける用意がある人である。」
リーダーは人を尊敬する。
・人が持つそれぞれ固有の特長を認識する
・他の見通しや見方を尊重する
・人の仕事上の生活および個人的な生活に心から関心を持っている
・革新を行ったり、必要なリスクを取るために、人の行動を支持する
・仕事の忙しさをいつも見ていて、余分に仕事をしてくれたら感謝する
・考えを実行に移す前に人から情報や意見を聞く
・常に尊敬と情熱を持って人に接する
・感情豊かである
・人を信頼する
『人の話を聞いて反省し、学べること』
「他人の意見を聞き、何が起きているのか反省することで、リーダーは自分自身と自分の組織について深い洞察を得ることができる。このような洞察とともにリーダーは、世界で何が起きているのかを広い範囲で深く本当に理解し、自分自身の学習成果を高めることができる。人の話を聞いて反省し、学べることでリーダーは、変化する世界のなかで直面する自分自身および人の心配をマネージする精神的な強さを持つことができる。
・自分自身を改善するために個人的に逃げることなく、また活発に仕事をする
・聞き上手である
・他人の意見を聞き、言われたことをいろいろと考えてみる
・表面的な理解ではなくて、深い洞察を一生懸命得ようとする
・どん欲にかつ広範囲に勉強しようとする
・他人の視点を評価し、また他人の視点に敏感である
・改善のためには成功と失敗の両方を分析する
・個人的失敗、組織としての失敗を見つけ、失敗から学び、積極的に訂正し、
状況を改善する
・会議の場でみんなで反省することをいつも行っている
・素早く、いつも学んでいる
・自分の専門分野では常に学び続け、最新の能力を人に示している
本当に最初これを米国で、ベティン教授から聞いていると不思議な感じでした。
それは子どもの頃から親や先生に言われていたことですからね。
何も特別な秘密があるわけでなく、当たり前のことなんですが・・・。
次のふたつはここ数年、特に最近かなり求められることです。
『曖昧性や不確実性に堪えられること』
「今日の競争的環境のもとでは、絶対にリーダーは不確実性に対して効果的に取り組み、それに対処できなければならない。すなわち曖昧な状況に慌てることなく、たとえやり方や結果が明確に定義できなくても、チームのメンバーが効果的に仕事ができるように導き、全体像を明確にしなければならない。」
曖昧性や不確実性に堪えられるリーダーは、
・全体像が明確でない環境の中でも効果的に仕事ができる
・たとえ情報が不完全でも、プレッシャーに負けずに適切な意思決定ができる
・何が重大な問題なのかを見抜き、優先順位を決める。すなわち数多くの小さな
火事のなかのどれが山火事になるのかを見抜くことができる
・一度簡単な問題が解決できたら、以前には不明確であった問題とそのパターンを
見抜くことができるようになる
・変化に対し効果的に対処する
・やらなければならないことが変わっているときでも柔軟性を失わない
・自分自身で判断し、適切な行動を始められる
・リスクが高い状況に対処する際に、革新的な方法を利用する
・プレッシャーがあっても上品で落ち着いている
『へこたれないこと』
「一番効果的なリーダーというものは、一時的にうまくいかないことがあっても、立ち直ることができるものである。このようなリーダーは失敗の原因を見抜き、将来二度と失敗しないような行動を取ることができ、失敗に学ぶことの大切さを理解している。同時に失敗にくじけず、失敗に打ちのめされたりしない。むしろ彼らはプレッシャーのもとでも冷静で落ち着いており、状況が切迫していても保身に走らず、いらだったりしない。へこたれないリーダーはストレスを効果的に取り扱い、予期しない出来事のためにノックダウンしたりすることがない。」
へこたれないリーダーは、
・逆境から立ち直る
・自分の失敗を認め、失敗に学び、失敗を正す行動を起こし、状況を改善する
・誰が間違ったのかではなくて、何を間違ったのかに焦点を当てる
・弱点、問題、そして間違いを見つけ、将来の改善に役立てる
・悪いニュースを落ち着いて受け取り、また伝える
・プレッシャーのもとでも冷静で落ち着いている
・やなければならないことが変わっているときでも柔軟性を失わない
また次が、特に変革のリーダーが持っていないとならないことです。
『自分で自分のやる気を呼び起こせること』
「自分で自分の方向付けを行い、自分自身のやる気を引き出すことは、効果的なリーダーが絶対に持っていなければならない資質である。自分の内面からやる気を出すことができるリーダーは、成功を達成する喜びを得るために、もうひとがんばりしようという意思を持っている。このやる気の源泉は多くの場合、個人的な成長や発展からもたらされる。リーダーはチャレンジに一生懸命取り組み、違いを作り出すためにさらなる責任を持とうとする。」
自分で自分のやる気を呼び起こせるリーダーは、
・意味ある仕事を達成することから得られる内的な満足感によって動機づけられている
・自分から行動できる人であり、自分から率先して行動する
・仕事でがんばることを楽しむ
・改善のために建設的な意見を求めている
・自分自身のために挑戦的な目標を設定し、チームのメンバーがプロとして成長する
ことを助ける
・よりよいキャリアを求めて率先して行動し、個人としてあるいはプロとしての
成長の機会を探す
・一生を通じて勉強を続けていく人で、個人とチームの成績を向上させるために、
これまでに蓄積した知識を使うことができる人である
・プロとしてやるべきことと、個人的な責任のバランスを取る人である
そして最後に、これが大切です。
『自分自身のことがわかっていること』
「人をリードするためには、リーダーはまず始めに自分自身のことを知らなければならない。そして自分自身の強さと弱さの実像を知っている必要があり、強さと弱さのどれをいつ用いるか、そしてそのときには何をもってそれを助け、あるいは何を克服しなければならないのか、明確にわかっていなければならない。もっとも効果的なリーダーというものは人の洞察や人の意見を良く聞き、反省することで、自分自身への理解を積極的に深めていこうとしているようである。リーダーは自分自身の行動の動機というものをいつも明確にわかっていて、どうやったら自分自身が組織全体に適合し、組織全体の成功に貢献できるか、知っている。リーダーは自分を知ることによってどんな場合にリーダーとして積極的に行動したらよいか、どんな場合に人を助けたらよいか、どんな場合に正々堂々と反対意見を述べたらよいかがわかる。」
自分自身のことが明確にわかっているリーダーは、
・自分自身の強さと弱さを見つけ出し、それを知っており、自己改善に努めている
・建設的な意見を正直に聞く
・自分で反省したり、人の意見を聞くことによって自分自身に対する洞察を得る
・バランスの取れた業績評価を受けたいと望んでおり、それによって強さを力にし、
弱さを改善する方法を探している
・積極的で建設的なユーモアの感覚を持ち、自分自身を笑うことができる
・自分に仕事を任せてくれる上級管理者を効果的に助けて一生懸命働き、能力を磨き、
尊敬を得る
・間違いを認め、人の意見を落ち着いて聞く
さて、みなさんは以上を見て、どうお感じになったでしょうか。
このほかにもあって、『自尊心と自信を持っていること』『視野が広いこと』『逃げないこと』『続けることができること』『喜んでリスクを取ること』『積極的な態度であること』などがあります。
「これ全部できるわけないじゃないか」という声も聞こえてきますね。
私もそう思って、ベティン教授に聞きました。
そうしたらベティン教授は、ともかく一番最初の「誠実で何事も首尾一貫していること」を心がけなさいと。
私もあらためて自分を振り返ると、まだまだ良きリーダーとしての資質向上には長い道のりが待っていることを痛感します。
政治家のことを非難している場合じゃないですね。
今、長野県の伊那にいます。
これから「信州・伊那地域経営研究会」の設立記念勉強会の講師です。
会場は「かんてんパパホール」。
地域でこういった勉強会や研究会が立ち上がることはうれしいですね。
こういったときだからこそ、学び・実践のときです。
