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変革の大敵・・・偽の危機感

4月26日(日)

今週は、これまでもこのブログで何度か紹介しています、早稲田大学マニフェスト研究所(北川正恭所長)の人材マネジメント部会の新年度がスタートしました。
今年度も全国からたくさんの地方自治体が参加してくれました。
これから1年間、自分の組織の変革をいかに取り組んでいくのかについて、学び、そして実践していってもらいます。

そう書きながら感じていることです・・・。
これだけ数年前から、そして特に昨年からかなり目に見える形で世界が変化し、国内がその影響を受けて大きな変化をしているのに、なかなか組織が変わっていかないのをどうしたらいいのか・・・。

ありたい姿と現状を考え、計画はつくった。
トップも変革に熱心で、推進チームもある。
なのに組織のメンバーに火がつかないし、組織は変わらない・・・。

そんなことを考えていた時に、興味深い本に出合いました。
今日はその本をまず紹介したいと思います。

企業変革の核心』 ジョン・P・コッター  日経BP社

本の帯に書いてある言葉がすぐ目に飛び込んできました。

変革の大敵は、自己満足と偽の危機意識

ジョン・コッターと言えば、リーダーシップや組織変革で、特に「変革の8つのステップ」が有名です。

 1.危機感を生み出す
 2.変革プロセスを主導できるだけの強力チームをつくる
 3.ビジョンを掲げ戦略を立てる
 4.ビジョンと戦略を全員に徹底する
 5.社員がビジョン実現に向けて行動するように、現場に任せる
 6.信頼を勝ち取り、批判を鎮めるために、早い時期に成果を出す
 7.手を緩めず、変革を成し遂げる上でのより困難な課題に挑む
 8.新しい行動様式を組織文化の一部として根付かせる

これまでコッターは、「変革の8つのステップ」をたくさんの本で紹介していますし、私もコッターは好きで、以下の本は全部読んでいますね。

 『リーダーシップ論』
 『企業変革力』
 『ジョン・コッターの企業変革ノート』
 『カモメになったペンギン』

さて、「変革の8つのステップ」でともかく重要なのは、最初の「危機感」。
今回の本『企業変革の核心』では、ともかく変革の最大の失敗要因は、「危機感」を社員がなかなか持てないことにあるとして、危機感について深く掘り下げています。

ほんと実際に組織変革を見ていると、メンバー一人ひとりが危機感を持つことはなかなか簡単なことではありません。

この本で書かれていて、興味深いのは、

ほんとうの危機感を理解するためには、その反対概念を知っておくとよい。自己満足と偽の危機感がそれである。

自己満足はわかります。私もよく研修などで説明しています。
「できている。やっている」
悪い3Cの最初の「コンプラセンシー」。

でも「偽の危機感」という言葉は、聞いたことがなかったので、興味を持ちました。

「偽の危機感」を説明した箇所を本から一部だけ引用紹介します。

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 自己満足に陥った人は「このままでいい」ので何もしようとしないが、偽の危機感に突き動かされた人は「何かしなければ」とやみくもに行動に走る。自己満足した人は半分眠っているが、偽の危機感を抱く人は大いに活動する。前者はぬくぬくと現状に甘んじ、後者は不安や怒りに駆られる。
 激情に駆られると人は理性的な判断ができなくなり、考えなしにあわただしく行動する。だからこれを本物の危機感に基づく行動と取り違えるのも無理からぬことと言えよう。だが不安や怒りに根ざした行動からは、まずもってよい結果は生まれない。それどころか、破滅的な結果につながることさえある。

 自己満足に陥った人がそのことに気づいていないように、偽の危機感に翻弄されている人も、それに気づいていない。人間というものは、自分の感情を隠す、それも他人の目からだけでなく自分自身からも隠すことに驚くほど長けている。不安と怒りも例外ではない。

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自分でも読んでいて、ドキッとしました。
「大変だ」とあせって、「何かしなければ」とよく考えずに行動してしまうことがありましたが、それは「偽の危機感」だったのではないかと・・・。
なぜなら、あせって行動したときは、大抵の場合、うまくいかなかった・・・。
「まずは行動が大事だ」とやっていることはどうなのか・・・。

もう少し詳しく知りたい方は、ぜひこの本を読んでみてください。
本物の危機感を組織のメンバーに持ってもらうための戦略・戦術の事例(成功・失敗)が豊富にあるし、「自己満足と偽の危機感を突き止めるチェックリスト」などもあって面白いですよ。

例えばひとつだけ紹介すると、

重要な取り組みを始めようとするときに、関係者のスケジュール調整がつかないということはないか?

私がこれまで見てきた組織でも、これに実際に当てはまるところが結構ありましたね。
全社的に緊急かつ重要な案件の会議の開催が、各事業本部長のスケジュールが合わないなどの理由で、1週間、2週間と延びていく。ひどい場合は1ヶ月も。

「どれだけ本気なんですか?」

思わずそう聞きたくなりますよね。
でも実際に聞くと、みなさん、「本気だ」と言うんです・・・。

今思えば、あれが「偽の危機感」だったんだ・・・。

本物の危機意識を高めるための基本戦略は、

頭(理性)と心(感情)の両方に訴えかけ、目を覚まさせ、行動を促す

つまり変革は、組織のメンバー一人ひとりが、自ら変わる意識にならないと何の成果も生まれません。
いかにその意識にさせるかが重要。

この自ら変わる意識(自己認識)については、岡本正耿先生の『革新の基礎テキスト』にありますので、ちょっと長くなりますが、せっかくなので引用紹介します。

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変革者の自己認識

1.自発性
 仕事だから変革をやっているのだと自己認識をすると、具体的に何をやればいいのか考えることができません。そうすると、とにかく研修や講演会を開こうとしてしまいます。変革の全体的計画や戦略を立てずに、単に講演会や研修会を行っても、何の効果もありません。
自発的に変革をするのだという自己認識を持っている人は、理想としての状態を思い描き、それと現状のギャップを検討するでしょう。そしてそのギャップを克服するために活用できるもの、障害となるものはなにか、などと戦略を考えます。仕事だから、命令だからということで変革を考えることはできません。自発的に変革をするのだと認識してください。

2.利他性
 自分の収入のため、出世のため、地位のために変革を考えようとすると、ご都合主義、詭弁・強弁、手段思考などに陥ります。本当の効果的変革でなく、受けを狙ったり、他人の評価ばかり気にした似非変革を考えてしまいます。自分のためでなく、他人のために役立つにはどうするか、というのが変革者の基本的視点です。

3.明瞭性
 受け身で自己中心の人は損か得かだけで生きています。そしてその本心も色々な方法で隠します。威圧的な態度をとる、不機嫌な表情をするというのもそうですが、曖昧な表現をするというものそのひとつです。「だいたいそんな感じで」とか「そんな風に」という表現は変革者には禁物です。言葉を定義する、表現を明瞭にするということは、変革の第一歩ですから、変革者が曖昧表現をしていてはいけません。曖昧な表現をする人は明瞭な思考ができない人です。抽象的、一般的な話や文を書かないように注意してください。また、抽象的な言葉は必ず定義をしてください。定義が思考の原点です。

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まさにこれらの自己認識で、「偽の危機感」を持っているかどうか判断もできますね。
そして組織のメンバーだけでなく、変革の推進者もセルフアセスメントが必要です。

ジョン・コッターは、あなた自身もすぐに「自己満足」や「偽の危機感」に陥ってしまう可能性を大いに持っているので気をつけなければならないと言っています。

頭と心の両方に訴えるのに、重要なのは「心」へのところ。

他人がどうこうよりも、みんなが危機感を持ってくれないと批判する前に、まずは「指は自分に」。

メディアはメッセージ

やっぱり最後はここにくるようですね(苦笑)。

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2009年04月26日 22:50に投稿されたエントリーのページです。

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