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採用を考える その2

5月17日(日)

新型インフルエンザの国内発生で、関西方面は大変なことになり始めていますね。
人はどんどん移動していますから、これがいつ東京圏で起こるのか・・・。
藤原直哉氏がよく「歴史の断層」という話をしますが、この数年の金融破たんからの世界恐慌、そして今回の新型インフルエンザの広がりを見ていると、ある日突然、今までの常識が通じない、大きく世の中が変化することは起こるものだと感じます。
そして何より恐いのは、その真っ只中にいると、なかなか頭と行動を切り替えられないものだということです。
「何となく大丈夫ではないか」「たいしたことはないのではないか」と思ってしまう気持ちが・・・。


さて、先週の「採用について考える」には、数多くの感想をいただきありがとうございました。

「組織の価値観に合致した人を採用する」

「経営とは人なり」と言いますが、自分たちの組織にとっての適材(良い人)とはどのような人材かを明確にするところから始まります。

自分たちは、何のために、誰のためにあるのか。
自分たちがお客様や社会に提供したい価値は何か。
自分たちは、何を大切にしているのか。
自分たちは、どのような組織(職場)をつくりたいのか。

まずはそこがしっかりしないと「採用」は、そしてその後に続く「教育」は効果的ではなくなってしまいます。

今日も引き続き、採用について考えていきたいと思います。

『世界中で最も素敵な場所を夢見て、想像し、設計し、そして建設することはできる。しかしそれを実現するためには優れた人材が必要だ。』(ウォルト・ディズニー)

私の好きな言葉ですが、以前、『社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』の著者である、香取貴信さんに東京ディズニーランド(TDL)の採用面接について聞いたことがあります。

TDLは現場で働く人の約9割がアルバイトですが、そのアルバイトの採用面接でもある基準があるそうです。

確かにディズニーランドと言えば、アトラクションがメインのように思われますが、大切なのは働いている人たち(キャスト)のサービス、笑顔や雰囲気が、TDLを「夢と魔法の王国」にしていますからね。私もそこが好きで、もう25年間、何度も何度も通っています。

アルバイトの面接官は、人事部の社員ではなく、現場でリーダーとして働いているアルバイト。

基準は・・・「この人と一緒に働きたいかどうか」

それだけだと聞きました。
現場のリーダーたちですから、TDLがどんなところで、何を大切にしているかはわかっている。そのリーダーが、今、目の前にいる人と一緒にTDLで働きたいかどうか。

シンプルだけど、逆にそれがとても厳しいことのようです。
それはそうです。採用された人が働き始めてみたものの、組織と合わなかったら、その人が悪いのではなく、誰が採用したのかということになりますからね。

現場のリーダーとして、自分の目が問われるわけです。
これは採用をするリーダー自身が成長できます。
なので、それも教育のひとつとしてやっているのでしょうね。

実は似たような経験が私にもあります。

先週は新卒で入った銀行の採用を書きましたが、その後、転職した先、米国投資銀行「ソ○モン・ブラザーズ」でのことです。

入社後、東京支店に配属になったのですが、当時のソ○モンの東京支店はメンバー構成(約150名)は、日本の各金融機関からの転職組の人たちが中心でしたが、その数年前から新卒採用を始めていました。
その新卒の採用面接は、人事部がするのではなく、現場で働いている人がやります。
試験などなく、面接のみ。
しかも面接回数は1回や2回ではなく、最終面接前に、ひとり平均8回はやりました。
つまり平均8人の現場の人間が、ひとりの学生に会います。
現場の人間は職種も様々で、トレーダーもいればセールス、アナリストもいます。
数多くの学生を面接するこちら側も、面接の時間をやりくりするのが大変。

何度も何度も会社に来る学生も大変でしたね。
なぜならちょうどバブルの真っ最中で、他の企業、特に各金融機関は先週書いたようにひとりでも多くの学生を確保しようと必死。
外資系金融機関の認知度が上がり始めていた時なので、応募してくる学生がどんどん増えていきましたが、ほとんどの学生が日本の他の金融機関から声がかけられています。
学生はそんな売り手市場でかなり「いい気」になっていますから、すぐに内定がもらえないなんて耐えられない、というのがたくさんいました。
それでもソ○モンで働きたい、そういう気持ちがないと面接に何度も来れません。

では、どういう学生が採用されるか。
それは面接した人が全員マルをつけないとダメというシンプルなもの。
どんな基準で各自がマルかバツを決めていたかというと、
「この学生と一緒に働きたいか。ソ○モンの一員として迎え入れて良いと思うか。」
それだけです。

そして、各自は自分の考え、「なぜ自分がマルをつけたか。なぜバツなのか。理由は・・・」を明確にしなければなりません。
それを夜遅くまで他のメンバーと喧々諤々、話し会ったことを思い出します。
でもそれが会社や組織、仕事のことを深く考えるようになったきっかけだったと思います。

そしてトップから強く言われていたことは、
「自分がマルをつけて入社してきた人間については、必ず責任を持って面倒をみること」。

あの頃のソ○モン(おそらく東京だけ)で、特に言われたのは、「個人よりもチーム」。
部門内で協力だけでなく、部門を越えて協力体制をとって、顧客に価値を提供することを重要視していました。実際、協力し合う雰囲気の職場は明るいものでしたし、給与などの評価基準も部門内の360度評価や他部門からの評価が取り入れられていました。

あの頃の日本のトップは、若くて新しい組織(私が入社した頃はまだ設立5年目くらい)を米国本社とは違う、そして日本の金融機関とも違う組織風土にしようと考えていたのでしょう。だから若い社員たちを人の採用の中心にして、自分たちの組織を考えさせるようにしたのではないかと思います。
だからあの頃(ある時期までですが)は仕事大変でしたが、ソ○モンで働くことは楽しかったですね。

注・・・「ある時期まで」とは、米国本社で米国国債の不正入札があり、ソ○モンは経営危機になりました。ある日いきなり米国本社から、「今日からは儲かるビジネスのみをやるように」との強い指示が来て・・・、その日から目先の利益のみを追いかけるようになっていったのです。

先週は、採用の最前線でトップが自分の考え、組織の価値観を明確に学生に伝えることの大切さの話をしました。
ディズニーもそうですが、何回かの面接の中では、現場の若いリーダークラスにどんどん会ってもらい、彼らに採用の決定権を持たせることにも大きな価値があると思います。
権限を持つことによる責任感が、成長のエネルギーになりますからね。

結構多くの会社の現場の不満は、「なぜこんな人間を会社は採用したのか・・・」。
だったら自分たちで決めれば、そんな不満は持てなくなります。

同じようなことは、1997年に日本経営品質賞を受賞した「千葉夷隅ゴルフクラブ」の加藤総支配人(当時)もおっしゃっていました。
採用は、リーダークラスの社員たちだけで面接して判断する。
そうすることで、入社後の教育、また何かあったときの対応に現場が責任を持つようになると。

そうそう、先週の最後で、「でもわが社はとても人を選べないんだ」という場合はどうしたらいいかを考えてみる、ということを書きましたね。
それは、千葉夷隅ゴルフクラブを思い出して書いたのです。
その昔、千葉夷隅ゴルフクラブはなかなか人が集まらない時期があったそうです。
人を選べないときにどうしたか。
それはともかく入社した後の「教育」しかないと。
特に入社3年までの間に、特に働くこと、仕事についての目的意識など、考え方から徹底的に教育していくと加藤さんはおっしゃっていました。
それもトップ自らが教えるだけでなく、先輩社員が後輩を指導していくやり方でやるそうです。
でもその頃はついていけずに辞めていった人も多かったと聞きます。
それでもあきらめずに人の教育に力を入れていき、だんだんと若い人たちの目の色が変わっていく。
その子たちがお客様から高い評価をいただく、また地域の人たちや学校関係者にもその子たちの成長が知れ渡り、徐々に良い人材が募集してくるようになったそうです。


ちょっと話を「採用」に戻します。
さて、みなさんの組織の採用の考え方、取り組みを振り返ってみていかがでしょうか。
経営にとって最も重要な「人」。
人材ではなく、人財。

その「人」を採用することを、どう考え、実行していますか?
そしてその取り組み、仕組みをどう改善していますか?

これが正解、とひとつあるわけではありません。
他の組織を学びながらも、自分で考えていかなければなりません。
ぜひ研究して、取り組みの質を高めていってほしいと願います。

私もいろいろな事例をこれからも研究していきますのでまた紹介していきます。

追伸:
今夜のNHKスペシャル「マネー資本主義 第2回・・・超金余りはなぜ起きたのか」
ご覧になりましたか。
さすがNHK大御所の松平アナが力を入れている番組。
今回も面白かったですね。この20年くらいの世界経済の動きがわかりやすくまとめられています。
「ミセス・ワタナベ」、日本の主婦がFX(為替取引)にはまっていく様子はこの数年見ていましたが・・・、恐いですねえ。

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コメント (2)

広瀬です。:

お久しぶりです。相変わらず活躍されてますね?以前水戸北口の某マッサ?ジ店でお世話になりました者です。最近独立しまして、人材について悩んでたので、鬼沢さんのコメントを読んでとても勉強になり、悩みが解決されました。人材を人罪にせず人財にします。ありがとうございます。

hisa:

とてもためになるエントリー、ありがとうございます。m(_"_)m
遠からず、「採用される側」として、活動し始めねばならない情勢・雰囲気のため、色々と考えさせられました。
自分にとって、より良い選択となるように、取り組んで行こうと思っています。

追伸:
今月も時間を捻出できず、月例会&事例研究会に出席できません。
心底、残念です。(泣)

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2009年05月17日 22:03に投稿されたエントリーのページです。

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