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2009年09月 アーカイブ

2009年09月13日

『茨城経営品質大学』がスタート。

9月13日(日)

先週は突然お休みをしてしまい、申し訳ありませんでした。

先々週の8月30日の衆議院選挙では、民主党が圧勝の308議席を獲得。
政権交代が現実に起こりました。

今回の選挙は、まさに市民革命。
国民(有権者)の1票で、本当に国を変えることができる。
今まで多くの人が、「どうせ選挙に行っても変わらない」とか、「誰がなっても変わらない」からと、その権利を放棄していましたが、そうではない、ひとりひとりが行動すれば変わることができることを実現させた意味は大きいと思っています。
それこそが、民主主義というもの。

でも大切なことは、これからの未来。
お任せの民主主義ではなく、もっと一人ひとりがこれからの政治に関心を持って見ていかなければならないですね。

国内では、政治が歴史的大転換。
さらに世界を見てみると、ちょうど昨年の9月に起きたリーマン・ショックから1年。
世界同時不況(世界恐慌)はどうなっているのか、そしてどうなっていくのか。
そして、時代の大きな変化を知り、自分の会社の経営はこれからどうあるべきなのかを考え、行動(変化)していかなければなりません。
しかし、これだけの変化、パラダイムシフトが起きているのに、まだ今までの常識や今までどおりでうまくいくはずと思っている人や組織が多いことが、非常に危険なこと。

『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるわけでもない。唯一生き残るのは変化できる者である』

『変化の大きい時代に、未来を受け継ぐのは学び続ける者である。学ぶことをやめてしまえば、身につけた知識はすでに存在しない世界でしか通用しないものになってしまう。』

『暗いと不平を言うよりも、自ら進んで明かりを灯しなさい。誰かがやるだろうということは、誰もやらないということを知りなさい。』


意図したわけではありませんが、ちょうど良いタイミングで9月11日に『茨城経営品質大学』をスタートすることができたのではないかと思っています。

その11日のオープニングは、これまでもこのブログで紹介していた、経済アナリストの藤原直哉氏による公開講座『100年に一度のチャンスを活かす』でした。

私が1997年、日本国内で金融不安が本格化したときに、まず世の中のことを、変化を学んでもらおうと藤原さんを招いて、水戸でマクロ経済の勉強会「藤原塾」を開催した頃の気持ちを思い出します。
ひとりでも多くの方に藤原さんの話を、ものの見方や考え方を学んで欲しいと、企画したのが今回の公開講座なんです。

事前に申し込みよりもかなり多くの方に参加していただけたことは、それだけ危機感を持っている方が増えているということでしょうね。
私はずっと参加者の様子を見たり、会場の雰囲気を感じるようにしていたのですが、本当にみなさんの熱心さを強く感じました。

いつも藤原さんの話は内容の密度が濃くて簡単にまとめきれないのですが、以下に私が強く感じたことを書いていって、参加できなかった方と少しでも共有できればと思います。

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「勉強していないと毎日同じことをしてしまう。勉強していないとダメ。
経営はやり方ひとつ。本来は不況になる前に勉強していて、メシが食えなくなる前に新たな行動をしていく。どうしても不況になってメシが食えなくなってから勉強して行動しても時間のブランクができてしまう。」

「不況と言わず、変化の時。どうやって攻めるかを考えて行動しなければならない。」

「今回の政権交代は、ただの政権交代ではなく。平成の市民革命。今までの常識が通じなくなる。経団連など財界のあり方、派遣労働者の問題、温暖化ガス25%削減などによって経営だけでなく、人々のライフスタイルも大きく変わっていかざるを得ない。」

「農業にも大きな変化。特に地方分権が進み、中央と地方の関係は明治以降の大きな変化となる。地方のリーダーが中央と外交をしなければならなくなってくる。」

「アメリカとの関係も普通の国になっていく。今のオバマ大統領は日本には関心はない。関心があるのは中国。これまでの利権に絡んでいる人たちが大騒ぎしているだけ。」

「残念ながら民主党に経済政策はない。これまでの歴史もそうだが、いずれ政治がこういった時代でも元気のある経営者を集めて知恵を出してもらうときが来るだろう。だから元気のある経営者がヨコにネットワークを組んで、未来を創っていかなければならない。」

「大量生産、大量消費のビジネスモデルでは厳しい時代になっている。これからは何か独自の能力を持っている中小企業の連合体からのスタートになるのではないか。」

「いまだに問題意識なしはどうしようもない。問題意識はあるが、行動していないはまあまあ。今は、経営者自身が商品を持って得意先を走り回っていなければならない。」

「世界経済の実態は、依然、いや今まで以上に深刻になっていくだろう。これまでの世界経済を引っ張ってきた米国の経済はますます泥沼に入り込んでいる。金融だけが公的資金の投入や会計基準の緩和などで焼け太り状態になっている。実体経済が悪いのに、株価が上がり続けることはない。夏に上海の株価が下がり始めた。今度来る金融危機は中国発。そしてドル売りは加速していくだろう。」

「これから、中国、韓国、インドの国々が生き残りをかけて、ムチャクチャなダンピング輸出を日本にしてくる可能性が高いと考えている」

「80年前の日本(高橋是清の頃)も、大恐慌の最中、とんでもない安値で綿織物を輸出して経済を立て直した歴史がある。実はそれでイギリスやアメリカを怒らせたことが第二次世界大戦の理由のひとつと言われている。その頃の日本と同じことを新興国がしてくるのではないか」

「付加価値のある製品を生み続けなければならないのだが、日本国内ではまったくコストが合わず、クルマや家電製品といった「ものづくり」をこの先もしていけるのかどうか考えなければならない時がくるかもしれない」

「明治維新以前は、日本橋の商人が経済の中心だった。開国後は横浜の商人が貿易で大儲けをして栄えた。しかし明治以降の国を創って行ったのは横浜の商人ではなく、日本橋の商人でもなかった。誰が産業の基盤を創っていったのか・・・、それは武士。武士の魂で商売をする。「士魂商才」代表的な人物が渋沢栄一。国を興し、産業を興す。そのためには金融が必要と国立第一銀行を創った。道徳ある経済が、これからの日本にもう一度必要になってくる。」

「士魂は、自分のことより、お客様、お得意のことを考えること。利益を考える時間軸が長い。今すぐ儲けるのであれば人を育てる必要はないが、持続可能性を高めるのであれば、人を育てていかなければ、品質は高まらない」

「困った時ほど、お得意のところへ行って、どうしたらあなたを幸せにできるかを考え、お得意とコミュニケーションを取っていかなければならない」

「経営者は、次どうする、どうすればみんなが幸せになるかを考えるのが仕事」

「昨日と同じことをやるなら経営者はいらない」

「今日のメシを食うためにやっている人は難しい。何のためにやっているのか、本気の理念かどうかが、今、問われている」

「これからの経営に必要なのが、想いと遺伝子。経営者は歴史を勉強しなければならない。そして手塩にかけて人を育てていかなければならない。」

「目先をどんどん変えるのが評価される国もある。日本以外のアジア諸国はそういうところが多いが、日本はそうではない。じっくりと熟練を育てていく。」

「敗戦後の復興は、日本は官民一体、ドイツは大企業中心、イタリアは個人の才能を活かす中小企業中心で進めてきた。これからの日本はイタリア型を目指していった方が良い。」

「経営者は、世の中に新しい付加価値を作り続けていく。自分の会社にしかないものをつくり、お得意に売る。品質とは、いかにテーラーメイドできるか、そのためにお客さまとのコミュニケーションがどれだけできるかだ。」

「経営者は、人を育て、人に任せていく。そして時間と余裕をつくって、勉強していく。
決して今日の仕事に忙殺されていてはいけない。」

「経営者は、混乱の終わるイメージ(姿)を考え、言葉にしていく。それが理念になる。
出口があるからみんな頑張れる」

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いかがですか?
少しは雰囲気でも伝わったでしょうか。
まだまだ書き切れないことがたくさんありますがお許しください。
何とか今回の藤原さんの講演は、テープ起こしをして、茨城県経営品質協議会のHPに掲載したいと考えています。

次回の公開講座は、
日 時:9月18日(金) 14:00~17:00
講 師:松本晃氏(ジョンソン&ジョンソン(株)元社長、現在はカルビーのCEO兼会長)
テーマ:「会社の危機にトップはどう立ち向かうのか」
会 場:水戸プラザホテル

こちらも聞き逃せない講座になっています。
ぜひひとりでも多くの方の参加をお待ちしています。

今回は長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。
最後にちょっとご報告を。

この「経営品質講座」とは別に、個人的なブログを先月から始めました。

「鬼っ子日記」  http://ameblo.jp/onikko-nikki/

以前の「代表日記」に近い、経営品質のことではない、日々のプライベートで感じたことなどを
書きつづっています。

2009年09月20日

価値前提の経営・・・ジョンソン・エンド・ジョンソンに学ぶ

9月20日(日)

ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)元社長の松本晃氏をお招きして、9月18日(金)、茨城経営品質大学「公開講座 第2回」を開催しました。

テーマは「会社の危機にトップはどう立ち向かうのか~ 我が信条(クレド)と企業の社会的責任~」

第1回では、経済アナリストの藤原直哉さんに、今のマクロ経済の状況についてだけでなく、リーダーが持たなければならないものの見方や考え方についてお話いただきました。
それを受けて第2回では、経営者としてどうあるべきかを松本さんにお話いただきました。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)は、何と
  76期連続増収
  25期連続増益
  47期連続増配
といった、長期的な企業価値を創造している企業。

さらには企業調査では、米国フォーチュン誌による「最も称賛される企業」で5位。
バローンズ誌による「最も尊敬されている企業」で1位。
業績だけでない、まさにエクセレント・カンパニーです。

今日は、松本さんのお話を聴いて、まさに「経営品質講座」で伝えなければならないと強く感じたところを紹介していきます。

それは、「価値前提の経営」
・・・価値前提の経営とは(革新の基礎テキストより)
「何を大切にするのか優先順位を定めて、その基準に従って考えていくもの」


企業経営において、結果は大事。品質やプロセスも大事であるが、結果を大事にする企業文化にしていかなければならない。

松本さんは、現在もカルビー(株)の代表取締役会長兼CEOの現役の経営者。
もちろん「結果に対するこだわり」の強さを感じます。

ただ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)があれだけの長期にわたる業績と高い評価を得ている原動力は、「我が信条(Our Credo)」であると言い切ります。

「我が信条(Our Credo)」による経営こそ、経営品質の考え方で大事にしている「価値前提」の経営そのもの。
まあ、元々米国でMB賞(マルコム・ボルドリッジ国家経営品質賞)を創っている時に、日本の優良企業や米国内の優良企業を研究して作ったのですから、当然、ジョンソン・エンド・ジョンソンもその対象だったと思われますが・・・。


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「我が信条(Our Credo)」は、創業者の遺志を継いだ息子のロバート・ウッド・ジョンソンJr.が1943年に作成したもので、まさに「企業理念」であり、「倫理規定」

会社とは、「この指止まれ」で、志を同じくするものが集まって事業を行うのが本来の姿。有名だとか給料が高いことを理由に入社してきても、すぐに辞めたくなってしまう。この価値観を好きなだけ人に集まって来てほしい。
「我が信条」があるおかげで、価値観を共有できるものだけに働いてもらうことができ、結果、それがいろいろなリスクを未然に防ぐことに大いに役立っている。

経営は、日々、いろいろな判断や決定をしなければならない。
企業である限り、利益などの「ビジネスの結果」は大切であるが、ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、常に「我が信条」に照らして意思決定をしている。
どんな軸を持って働いているかが重要。
未来のことはわからない。特に迷った時は「我が信条」を優先する。

よくあるような社長室に飾ってあるだけの企業理念ではなく、ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、新人からトップまで全員が、毎日「我が信条」を使っている。
つまり、意思決定ための議論を「我が信条」をベースに行っているし、その議論をとても大切にしている。
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これこそ、まさに「価値前提の経営」ですね。
松本さんのお話の中で、営業マンと同行した際にも、帰り道に「ああしなさい、こうしなさい」とは言わずに、「我が信条」に書いていることからどう考える?と投げかけをして、価値観の浸透と考える力をつけさせる、とおっしゃっていました。


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また「我が信条」の特色として、
 ・行動可能
 ・計測可能
 ・取り組みと成果を過去に遡って把握することができる

日本の企業理念の多くは、耳障りが良いだけで、意味がわからないのではないか。
「我が信条」は、顧客サーベイや社員サーベイ(クレドサーベイ)などで定期的に評価され、その取り組みは改善されている。
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取り組みを数値で計測して把握するというのがポイントですね。
良いことをやっていても、それがどれだけできているのか、また改善点などは何かを
判断するには、やはり数値で判断することが、明確だし、みんなの納得が高まります。
それを定期的に行って、管理・改善している仕組みがあるんですね。

では、せっかくなので、実際の「我が信条(Our Credo)」を下記に紹介します。
まさに企業理念であるだけでなく、倫理規定となっています。
1943年に作成されたと聞いて、本当に驚きです。


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  『我が信条(Our Credo)

 我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、看護師、患者、
そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対するものであると確信する。
顧客一人一人のニーズに応えるにあたり、我々の行なうすべての活動は質的に高い水準のものでなければならない。
適正な価格を維持するため、我々は常に製品原価を引き下げる努力をしなければならない。
顧客からの注文には、迅速、かつ正確に応えなければならない。
我々の取引先には、適正な利益をあげる機会を提供しなければならない。

 我々の第二の責任は全社員 ―世界中で共に働く男性も女性も― に対するものである。
社員一人一人は個人として尊重され、その尊厳と価値が認められなければならない。
社員は安心して仕事に従事できなければならない。
待遇は公正かつ適切でなければならず、働く環境は清潔で、整理整頓され、かつ安全でなければならない。
社員が家族に対する責任を十分果たすことができるよう、配慮しなければならない。
社員の提案、苦情が自由にできる環境でなければならない。
能力ある人々には、雇用、 能力開発および昇進の機会が平等に与えられなければならない。
我々は有能な管理者を任命しなければならない。
そして、その行動は公正、かつ道義にかなったものでなければならない。

 我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。
我々は良き市民として、有益な社会事業および福祉に貢献し、適切な租税を負担しなければならない。
我々は社会の発展、健康の増進、教育の改善に寄与する活動に参画しなければならない。
我々が使用する施設を常に良好な状態に保ち、環境と資源の保護に努めなければならない。

 我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。
事業は健全な利益を生まなければならない。
我々は新しい考えを試みなければならない。
研究・開発は継続され、革新的な企画は開発され、失敗は償わなければならない。
新しい設備を購入し、新しい施設を整備し、新しい製品を市場に導入しなければならない。
逆境の時に備えて蓄積をおこなわなければならない。
これらすべての原則が実行されてはじめて、株主は正当な報酬を享受することができるものと確信する。
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いかがですか。
顧客・社員・地域社会・株主に対する責任を明確にしていますね。
読めば読むほどに、なるほどそうだねと思うことばかりです。

そして、「我が信条」に沿った経営の実現のためには、社員とのコミュニケーションが不可欠であるとして、「クレド・チャレンジ・ミーティング」や「タウンホール・ミーティング」などの機会を大切にしているとのことです。
何度も言うように、作っただけではダメで、コミュニケーションや議論によって価値観が共有、浸透し、行動に結びついていくのです。

松本さんに質疑応答の時に私から、こう聞いてみました。
『他の会社も「我が信条(Our Credo)」のようなものを作りたいと思ったとき、何かアドバイスはありますか?』

その答えは、
『この「我が信条(Our Credo)」は本当に素晴らしい内容のものだ。ただ多くの会社が、まったく同じにするのはまずいと、いろいろと変えて作っているところが多い。でもそんな会社の企業理念や社是を見ても、意味がわからなくなっているものが多い。そんな無駄なことはせずに、「我が信条(Our Credo)」とまったく同じに、最初の1文のところだけは変えて、5年間やってみれば良い。5年間やってみるなかで、自分の会社らしく変えた方が良いと思うところは変えれば良いのではないか。大事なことは、日々の経営で使うことにある。』

まず良いものであれば真似てみる。
そこから始めて、その後は創意工夫を活かしていく。
まさに日本のお家芸かもしれません。

変化の激しい時代に、経営の判断、現場での判断にスピードが求められています。
何が正しいのかを考えるに、判断の軸がなければ、その場を取り繕うことになりかねません。
現場の「まあこのくらいならいいだろう」などの、ちょっとした判断ミスにより、今は会社の存在そのものが危険になる時代です。

松本さんは、「我が信条(Our Credo)」があり、日々使っていることにより、社員には他の企業よりもかなり厳しい倫理基準が根付いている。「危機管理に優れている会社」と言われるが、そうではなく「危機が起こりにくい会社」なんだとお話されていました。

ぜひみなさんの組織でも、「自分たちのあるべき姿を明確にする」「何を大切にしていくのか、やって善いこと悪いことが判断できる」、そんなものを形にしていってみてはどうですか。

そしてもちろん何よりも大切なことは、それを日々の経営の判断や意思決定に、現場からトップまでみんなが使って考え、議論し、行動することですからね。

2009年09月27日

21世紀の企業・・・ジョンソン・エンド・ジョンソンに学ぶ その2

9月27日(日)

今回も前回に引き続き、茨城経営品質大学の公開講座でお話いただいた、ジョンソン・エンド・ジョンソン元社長の松本晃氏の講演内容から紹介したいと思います。
前回は「価値前提の経営」についてでしたが、今回は「21世紀型企業」について。

松本さんは、「21世紀の企業に求められるもの」は次の5つであると話をされました。

 1.危機管理
 2.コンプライアンス
 3.コーポレート・ガバナンス
 4.企業の社会的責任
 5.ビジネスの結果

そして、それぞれのベースにあるのが、「我が信条(Our Credo)」であるということです。

今日は特に1と2について、ポイントを簡単に説明していきます。

危機管理
ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、1982年の家庭用解熱鎮痛剤に毒物が混入されていた「タイレノール事件」の対応からの教訓が今も活かされています。
「我が信条(Our Credo)」の考え方に基づき、素早く全製品の回収、積極的な情報開示など適切な措置を取り、消費者や産業界から高い信頼を得ることができたのです。

問題(危機)が発生した時に何を大事にしなければならないのかは、次の5つです。
 ① 顧客優先
 ② 情報開示
 ③ 率先垂範
 ④ スピード
 ⑤ 再発防止

現在も企業の危機管理では、ジョンソン・エンド・ジョンソンの事例を参考にしているところが多いとのことですが、逆に上記のようなことを考えて対応せずに、かえって顧客や世論から批判を受けているところも多いのが残念です。

みなさんの会社・組織では、危機管理の約束事・ルールが明確になっていますか?


コンプライアンス
コンプライアンスは法令遵守にとどまらず、社会からの要請に応えなければならない。
それは国によって違うし、いつも変わっていく。どんどん要請は高くなる。
経営者は、高くなる要請をいつも知らなければならない。
コンプライアンスに妥協はない。ダメなものはダメ。
それができなければ、100年続いた会社でも一瞬でつぶれてしまう。

私が以前より、ジョンソン・エンド・ジョンソンの倫理観で素晴らしいと思っていた考え方が、

 「Gray is Black.」 (灰色は黒)

この言い切り方がすごいですよね。
しかも簡潔でわかりやすい。

数年前に、「限りなく黒に近い灰色も大丈夫」と活動していた経営者もいましたが、やはり長続きしませんでした。
日本で言えば、「お天道様が見ているぞ。お天道様に恥ずかしくない生き方をしなさい。」
といった考え方と共通しているのではないでしょうか。

倫理観で言えば、こうも説明されていました
 「瓜田に履を入れず」
 「李下に冠を正さず」
疑われることはやってはならないという姿勢が大事なのです。

松本さん曰く、
確かにそれは窮屈なもの。しかし経営は窮屈なものだから、嫌なら経営はできない。  21世紀は正々堂々と経営をしていかなければならない」。
こうきっぱり言い切っていました。

さらに、ジョンソン・エンド・ジョンソンがある意味、厳しい会社であると感じたことは、

 「One Dollar, OUT!

1ドルでも会社のお金をごまかしたらクビ!
「悪の小なるを以って之を為すこと勿れ」(悪いことは小さなこともしてはならない)

これだけ厳しい倫理規範がある日本企業や日本の組織(特に行政!)がどれだけあるでしょうか?
結構なあなあでやっているところが多いのではないでしょうか。

「厳しさと優しさ」
良きリーダーに求められるものですが、企業・組織も同じ。

前回も書きましたが、ジョンソン・エンド・ジョンソンには他の企業の水準に比べてかなり厳しい倫理規範があります。
このことによって「危機が起こりにくい会社」となり、消費者から高い信頼を勝ち得ているのです。
その理由がよくわかります。


ここまで読んで、みなさんはどう感じていますか?
いや、うちではとても無理だよと、取り組む前からあきらめていませんか。

時代の変化の中、もう一度、日本人としての倫理・道徳が必要だと再認識されている時代です。
会社・組織でも、自分たちにとって何が大切なのか、やっていいいこと悪いことが何なのかを明確にして、取り組んでみてください。
その一歩一歩の努力が、これからの明るい未来を創っていくのです。

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