経営品質とは?  ~2006年度アセスメントガイドブックより引用~

品質とはもののふさわしさ適切さを意味している

 日本では「品質」という言葉は、製品の機能や特性を表すものととらえられてきました。ものの質だから「品質」だという概念が定着しています。そのような概念が定着しているものですから、「サービス分野で品質活動が行われないのは、品質という言葉が問題だ。品質ではなく質という言葉にすべきだ」と言う議論があるほどです。しかし、品質がいいのか質とすべきかというのはあまり意味が見出せません。ここで重要なのは品質という言葉の概念です。品質は「クオリティ」という言葉を訳したものです。クオリティの語源はギリシャ語の「クオリス」です。この言葉は「物事の明らかさ、適切さ」を意味しています。
 適切ということは、すべてに適切なことはありません。ある目的に対して適切かどうかが決まります。ある目的で適切なことであっても目的が違っていれば適切でなくなるのです。急いでいるお客様に対しての時間価値を目的としたサービスの質とゆっくりとくつろぎたい人向けの時間価値を目的としたサービスの質は異なります。このように品質は目的と深く関係している考え方なのです。

適切さは状態で判断する

 また、この品質は状態を表しているのです。目的に対して適切さの度合いが状態です。適切さとは、「適切、不適切」というような二値でとらえるのではなく、状態を判断することが重要なのです。その意味でチェックリスト的に「できている、できていない」という判断をするのは正しいとは言えません。目的を実現するために行っていることと、その状態をさらによくするために行っていることをきちんと見ていかなくてはならないのです。

経営品質とは目的を実現できる組織の状態を意味している

 経営品質というと少し耳なれない印象を受けるかもしれません。しかし、品質は目的にどれだけ適した状態を意味していますから、製品やサービスを生み出す組織をどう経営するかについてもその経営が目的にふさわしいかどうかは判断できるはずです。
 ジェームス.C.コリンズとジェリー.I.ラボス共著の「ビジョナリーカンパニー」という本は経営のベストセラーになった本でご承知の方も多いと思います。この本は、時代を超え際立った存在であり続ける企業18社を選び出し、設立以来現在に至る歴史全体を徹底的に調査、ライバル企業と比較検討し、永続の源泉を「基本理念」にあると解き明かしたものです。その第2章は「時を告げるのではなく、時計をつくる」というタイトルです。経営品質の考えは、正確な時を告げるのではなく、正確な時を告げる時計を生み出し続ける組織に注目しているのです。良い製品を生み出せば事業を起こすことができます。しかし、お客様にとって価値があるいい製品を生み出し続ける能力を身に着けなければ事業を継続発展させることはできません。いい時計を生み出し続ける、すなわちいい価値を生み続ける組織を作る経営の状態をもっと高めようということが経営品質の考え方なのです。
 いい組織とは、いつでも同じ状態にあることではありません。さまざまな影響によってお客様の考え方は変化します。その変化に対してもっと高い価値を提供できるような組織を変えていく革新能力を高める必要があります。経営品質とは価値革新を生み出す組織の状態を高めようという考え方なのです。